(画像提供:wowkorea)
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徴用被害を主張する85人の韓国人が2015年に日本企業16社を相手取って起こした大規模訴訟で、2021年6月7日の一審(ソウル中央地裁)は国家免除法理を適用して「却下」の決定を下した。

4人の韓国人が2017年に三菱マテリアル社(旧、三菱鉱業)を相手取って起こした訴訟でも、2021年8月11日の一審(ソウル中央地裁)は時効消滅を適用して「棄却」の決定を下した。しかし、二審(高等裁判所)、三審(大法院、最高裁判所に相当)も同様になるか分からない。韓日間の紛争の火種は相変わらずなわけだ。

足下の火は、2018年に最高裁にから「1億ウォンの賠償」という最終的な勝訴判決を得て日本製鉄(旧、新日鉄住金)の韓国内資産(株式)を差し押さえた原告らがこれを現金化した際に、韓国が背負い込む二回目の後遺症だ。

一回目の後遺症は既に経験した。それは、日本からの半導体およびディスプレイの中核素材(エッチングガス、フォトレジスト、フッ素化ポリイミド)の輸出規制(厳格化)と、日本の「安保友好国」(ホワイト国家)リストからの除外だった。

その後遺症の影響は罪のない企業に主に帰し、その被害と不便さは未だに進行中だ。「反日する者と被害を被る者が別々」と言う風な不公正な状態が続いている。

一回目の後遺症の余波が相変わらずな状態で、二回目が視野に入って来た。資産(株式)の差し押さえ措置に関して、日本製鉄側が不当だとして提訴したが、2021年8月11日に裁判所(大邱地裁)が「資産差し押さえ命令に誤りはない」として、日本企業の敗訴を決定したのだ。

これによって、差し押さえ資産を保有中の原告ら(4人)が申請した売却要請に対して、裁判所が売却命令のみ下せば資産は現金化される。そして原告らに1億ウォンずつ分配されれば、全ての手続きは終わる。

原告らのポケットへ1億ウォンずつ入って行く時点から、韓国は二回目の後遺症を味わうようになる。2019年3月に日本政府は、韓国に対して日本企業の資産を売却(現金化)する場合、関税引き上げ、送金制限、ビザ発給中止などの制裁を加えるだろうと公言した。

加えて、韓国産の農産物・水産物の輸入制限、中核素材の輸出規制の拡大、非ホワイト国家等級への格下げなどの措置が、二回目の後遺症としてお目見えしうる。

2018年の大法院判決で触発された一回目の後遺症の際、巷間では「日本が準備した100枚余りの報復カードの内の一枚が、今やようやく、出たもの」だという話が流布した。日本が覚悟を決めれば、韓国を苦しめる手段はいくらでも沢山あるという話だ。

関税引き上げカードは、日本向け韓国産製品の関税が高くなることで、主に日本向け輸出製品を生産する韓国企業には直撃弾となる。万が一、韓国政府がここに「向かい火(関税引き上げの対抗措置)」を点火したら、その被害もやはり日本産の素材・部品を輸入して使うほかない韓国企業が背負い込むようになる。

韓国企業は韓国政府による「向かい火(対抗措置)」で関税が高くなった日本産の素材・部品を以前より高い価格で購入しなければならない。

送金制限カードは、在日同胞および日本駐在の企業関係者、留学生など、広範囲な韓国人たちに大きな不便を強いる。一定金額(100万円)以下の海外送金の場合、現在は非銀行事業者を通じて廉価な手数料で簡単に送金するのが可能だ。

しかし日本政府が韓国をターゲットに簡易送金の基準金額を大幅に縮小(例えば10万円に)したり、簡易送金自体を完全に不可能にしてしまったりすれば、日本に滞在する韓国人らは極めて少額しか簡易送金が出来なくなったり、完全に不可能にされたりして、高い手数料と共に不便な手続きを経なければならない正規の銀行送金を利用するしかなくなる。

ビザ発給中止カードは、日本で事業をしたり勉強したりしたいという韓国人らの計画に大きな支障を招く。更に韓国企業の人員の日本支社派遣にも大きな不便を招く。日本滞在期間の延長手続きを行う際も不便を甘受しなければならない。(日本の入管が)あれやこれやの口実で、ビザを出してやらなかったり、3か月、4か月と待てとばかり言ったりしたとすれば、打ち勝つ術がない。

韓国産の農産物・水産物の輸入制限カードは、韓国の農産業界・水産業界を苦しめるうる。2021年上半期の韓国の農産物(農産食品)の輸出実績は史上最高となった。41億5390万ドルを記録したのが、この内、日本への輸出が6億9870万ドルで16.8%を占めると同時に、米国(15.2%)と中国(15%)を抑えて1位となった。

最大の市場(日本)への輸出が規制されるようになれば、その衝撃もまた最も大きくなるしかない。あいにく、日本は福島産の農産物・水産物と関連して、韓国に対する「怨恨」に徹した感情までを抱いている状態だ。(カードを切る機会を)厳格に待ち構えている可能性が高い。

中核素材の輸出規制カードは、既に使用してみたので、日本側はこのカードの長所と短所を確実に学んだのだろう。日本が見るに、「むしろ国産化の契機(となり)、日本企業だけ被害(を被る)」という韓国側の主張に妥当性があると判断されたのであれば、日本はこのカードの使用に消極的であろう。

しかし「やってみたら、韓国を苦しめるのにやはり最高(の手段)」だという判断がついたならば、日本は韓国が最も苦痛を覚える品目をまた選んで、二回目の輸出規制に乗り出すだろう。

非ホワイト国等級への格下げカードは、ホワイト国家リストからの除外による不便さを本当に感じさせる効果がある。たとえ韓国が日本のホワイト国リストから除外されたが、韓国のCP(自律尊守規定)認定企業については、以前のホワイト国のメリットをそのまま享受できるよう、日本政府が配慮しておいている状態だ。

非ホワイト国等級であるBグループ(トルコなど)、Cグループ(シンガポールなど)、Dグループ(イラン、北韓など)の中で、それでもまた最高等級であるBグループとして韓国を分類しておいたお蔭だ。

ところが等級がCグループへ落ちるだけでも、メリットは全て無くなる。そうなれば、サムスン電子(三星、SAMSUNG)などの韓国の全企業は非ホワイト国の企業としてのあらゆる不便さを、本当にそのまま全て味あわねばならない。

例えば「3年間の包括許可」のメリットが無くなり、日本企業の韓国向け輸出所要時間も「1週間以内」から「90日以内」へと大きく不利になるなど、全てのことが変わる。

この他にも、韓国人不法滞在者を対象に、日本当局が類例が無いくらい強力な「根こそぎ取り締まり」を広げる状況も予見しうる。日本の意思に明らかに反する資産売却(現金化)行為は、昔であれば、宣戦布告行為にも変わりないほど、主権侵害的な性格が強い。日本の報復が予想よりはるかに強くなるしかない理由だ。

一回目の後遺症が「味見」ないし「公開試合」だったとすれば、差し押さえ資産の現金化による二回目の後遺症は、しっかりとした辛さ(本試合)となる可能性が濃厚だ。「国産化の契機」、「むしろ日本が被害」などと云々と言って、虚勢を張ったムン・ジェイン(文在寅)政権は、二回目の後遺症の際も、そんな話をしうるのかもしれない。

※この記事は韓国の保守論客ファンドビルダーさんの寄稿文を日本語に翻訳したものです。韓国メディアには既に韓国語版が公開されています。翻訳の正確さに対する責任は当社にあります。

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