1995年、キム・ヨンサム(金泳三)大統領は中国の江澤民主席との首脳会談の後に持った記者会見で「日本の悪癖をしつけ直すつもりだ」と発言した。「日韓併合で日本が良いこともした」と言う日本の政治家(当時の総務庁長官)の発言に激怒したのだ。

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「日本の悪癖」発言は日本から大きな反発を買った。1996年、韓国は先進国クラブと言うOECD(経済協力開発機構)に加盟した。そして1997年11月に通貨危機で「IMF事態」を迎えていた。

2021年、8月17日のソウル外国為替市場でウォン・ドルのレートは1176.3ウォンで取引を終えた。1週間で30ウォンほど急騰(韓国ウォンの価値下落)した。11か月ぶりの最高値だ。幸いにも8月18日のウォン・ドルのレートは8ウォンほど下落して多少落ち着いた。ウォン・ドルのレートが上昇するということはウォン貨の価値が下落したという話だ。

8月18日、サムスン電子(三星、SAMSUNG)の株価は10年ぶりに不名誉な記録を打ち立てた。取引日で9日間連続で株価が上昇しなかった記録だ。8月5日から8月18日まで株価上昇した日が一度も無かった。三日目に横這いが一度有っただけだ。

サムスン電子の株価は過去2011年8月2日から8月11日まで、取引日で9日間連続で上昇しなかった。当時は横這いも無く、9日間連続で下落だけした。三星電子の株価の下落は外国人の売り越しの所為だ。外国人投資家の離脱は通貨(外貨・ドル)の離脱を意味する。

2021年7月末の基準で、韓国の外貨準備高は4586億8000万ドルだ。史上最高値だ。外貨準備高の増加にも拘らず、ウォン・ドルのレートがこんな風に不安な有様を見せてくれるケースがしばしば生じる。しかも米国との600億ドルの通貨スワップが締結された状態にも拘らず、そうした状況なのだ。

コロナ禍で世界経済が動揺するのと同時に、不安感が最高潮に達した2020年3月のウォン・ドルのレートは、中旬頃、1週間の間に100ウォンほど急騰しながら1300ウォンに迫った。米国との600億ドルの通貨スワップ締結のニュースは、レートを急速に安定させ、当時急落していた株式市場も安定傾向へと回復させた。

韓米通貨スワップは2008年のグローバル経済危機(リーマンショック)の際、300億ドル規模で結んだのが最初だった。当時は約2年間維持されてから、2010年に終了した。

その後、10年ぶりの2020年3月の韓米通貨スワップは、最初のものと比べ、その規模が二倍の規模(300億→600億ドル)となった。基本的に6か月契約として締結されて以降、二回の延長措置があり、2021年9月に3か月の延長を最後に2021年12月末に終了する予定だ。

2020年3月の通貨スワップ締結当時、国内メディアの報道事例(放送局SBS)を見ると、「韓米、600億ドルの通貨スワップ締結…ウォン・ドルのレートで息をつなぐのか」と言うタイトルで次のように報道した。

「我が国と米国が600億ドル、我が国の通貨で換算すると約76兆8千億ウォン規模の通貨スワップ協定を締結することとしました。これは去る2008年の金融危機当時の2倍の水準です。契約期間は最小6か月です。国家間の通貨スワップは、国家のデフォルト危機のような非常事態を迎えた時、両国が互いに通貨を交換するものです。我が国の場合、米国にウォン貨を預けて、代わりにドルを供給してもらう安全弁を確保できます」

「最近のウォン・ドルのレートは、滞りなく上昇しました。昨日のレートが1285ウォン70銭まで垂直上昇しました。この日のレートの上昇幅はグローバル金融危機直後の2009年以降で最大でした。取引時間内で1296ウォンまで上がりもしました。外国人の資金が離脱すると同時に、レートを押し上げました」

「現在、株式売却資金をすぐさまドルへ換えようとする外国人の需要が溢れると同時に、ドル不足が続いています。専門家らは韓米通貨スワップが外国為替市場の心理的安定を回復させる役割を果たすものと見ています。これを反映するかの如く、ウォン・ドルのレートは国外市場において午後11時基準で1255ウォン60銭まで下落しました」

ところで2021年の現在、史上最高額の外貨を保有し、こんな風に600億ドルの通貨スワップまで存在するのにも拘らず、ウォン・ドルのレートは依然として外部要因などによって敏感に動揺する状態だ。

ウォン・ドルのレートが安定せず動く理由は簡単だ。現行の外貨準備高の4586億ドルが市場の不安感を鎮めるのに、十分でないからだ。適正な外貨準備高の水準に関しては様々な見解が存在する。

「グリーンスパン-ギドッティ・ルール(Greenspan-Guidotti rule)」によれば、適正な外貨準備高は海外から輸入する商品およびサービスに対する決済代金(経常支給額)三か月分と、満期が1年未満の外貨建て債務の総額を合計した金額だ。この基準に従えば、韓国の適正な外貨準備高は4000億ドル前後となる。

「IMFルール」によれば、年間輸出額の5%、通貨量の5%、満期が1年未満の外貨建て債務の30%、株式への外国人投資家などの投資残額の15%を全て合計した金額の100%~150%水準だ。この基準に従えば、韓国の場合、3800億~5700億ドルが適正な外貨準備高となる。

「国際決済銀行(IBS)ルール」によれば、海外から輸入する商品およびサービスの決済代金(経常支給額)三か月分、満期が1年未満の外貨建て債務の総額、外国人投資家による株式投資総額の33%、国内居住者の外貨建て預金の全額などを全て合計した金額だ。この基準に従えば、韓国の場合、8000億ドル以上となって初めて、適正な外貨準備高となる。

従って現在の外貨準備高(4586億ドル)は、「グリーンスパン-ギドッティ・ルール」(4000億ドル)は充たすが、「IMFルール」(3800億~5700億ドル)は場合によって充たしもするし、充たし得ない場合もある曖昧な状態となる。更に「国際決済銀行(IBS)ルール」に従うのであれば、適正額(8000億ドル以上)に比べて大幅に達していない状態だ。

600億ドルの韓米通貨スワップを切実に必要とさせた2020年3月のウォン・ドルレートの急騰事態は、韓国の外貨準備高が4100億ドルほど積まれている状況下で生じたものだ。外貨準備高が4100億ドル水準では、ウォン・ドルレートを落ち着かせられないのが今日の韓国経済の実力(素顔)だという話だ。

更には、600億ドルの通貨スワップが締結中であり、外貨準備高がその時より500億ドル近く増加した現在(4586億ドル)でも、こんな風にウォン・ドルレートが不安な有様を見せるという話は、現在の外貨準備高が不足しているという反証となる。

従って最悪の事態に対応準備する側面から、韓国の適正な外貨準備高の基準は非常に保守的に見積もって、「国際決済銀行(IBS)ルール」(8000億ドル以上)に従うのが妥当だろうと判断される。更に外貨準備高の内、満期1年未満の短期の外貨建て債務の比率が2020年末基準で36%と高い方に属する状態であるために、より一層そうすべきだ。

1997年のIMF事態も短期の外貨建て債務のロールオーバー(借り換え・満期延長)が出来ず触発された。GDPに占める貿易(輸出額+輸入額)の比重である「貿易依存度」が高いというのも不安要素だ。2020年基準で韓国の貿易依存度は65%にもなる。日本の25%と比べ、2.5倍以上にもなる。

韓国が採り得る方法は二つだ。まず外貨準備高を十分な水準(IBSルール:8000億ドル以上)にまで引き上げておくべきだ。ギャップ(不足分)は3414億ドル(= 8000億ドル - 現在の外貨準備高4586億ドル)だ。

最近の3年間、外貨準備高は毎年平均200億ドル近く増えたことで、算術的に今後17年ほど(= ギャップ・不足分の3414億ドル ÷ 200億ドル)、勤勉に積み立てるべきだ。世界経済が振るわなくとも、毎年の経常収支の黒字を相当大幅に維持して、成長し続けなければならない。17年の間、経済が成長を持続したとすれば、貿易取引額や外国人による投資の規模など、各種の経済サイズもまた大きくなることで、これに比例して、求められる外貨準備高水準もまた増加するほかない。

結局17年後くらいになれば、適正な外貨準備高もまた増加して9000億ドル水準へ高まっている可能性が高い。今後20年間程度、成長を持続すると同時に、外貨準備高を積み立て続けて行くべきだという結論に到達する。

ところで、このような適正な外貨準備高(8000億~9000億ドル)を達成するまでは、現実的にある程度の不安な状態(交換レート動揺など)を根本的に抜け出せはしない。ところが、方法がまるっきり無いというものではない。ほかならない通貨スワップだ。

韓国が採り得る二つ目の方法となる。ところで通貨スワップはドル貨ベースでなければ、事実上、意味が無い。従って2021年12月で終了する予定の600億ドルの韓米通貨スワップについて、何とかしてでも、米国を説得して引き延ばし続けて行くのが良い。

日本との通貨スワップを締結するのも良い方法だ。しかし、病的反日に陥っている韓国人が日本との通貨スワップ締結を死ぬより嫌がるが故に、現在、可能性は殆どゼロの状態だ。日本は米国との通貨スワップを「金額が無制限、期間が無期限」で締結した状態だ。日本はドル貨が必要な場合、金額を問わず、その金額に相当するくらいの円貨を米国に提供して、いくらでもドル貨を無制限に持って来て使える。

韓国と日本の間には通貨スワップが存在した。2001年に初めて韓日通貨スワップが締結され、その後次第に規模が大きくなり、700億ドル水準まで至った。韓国が必要な時、700億ドルに相当するウォン貨(約81兆9000億ウォン)を日本側に預けて、日本から400億ドルに加え、300億ドル相当の円貨を持って来て使える通貨スワップであった。

韓国が結んだ通貨スワップの中で、史上最大規模であったのだが、2012年の李明博大統領による独島訪問以降、規模が急速に縮小されると同時に、2015年の満了時点で韓国が締結延長を求めず、完全に終了した。韓国人の病的反日が、基本的判断力(「どちらがより利益なのか?」)さえ麻痺させたケースだ。

2019年の「竹槍歌」と「二度とは日本に負けない」と言う日本に向けた大口、そして2021年の韓国による「先進国認定」(国連貿易開発会議)は、奇妙にも、1995年の「日本の悪癖」発言に続く1996年のOECD加盟、そして1997年のIMF事態と言う時系列的な構図を相当部分、なぞって行く兆しが見える。

故に何故か不安だ。万が一、2021年12月に米国が600億ドルの通貨スワップを追加延長してくれず、予定通り終了させたとしたら、不安感は激増しそうだ。おまけに韓国は「家計負債」と「ポピュリズム政治家」と言う更なるリスクまで背負い込んだ状態だ。

IMF事態が突発するわずか2年前の1995年に、国際信用評価社(格付け業者)のS&Pは韓国の国家信用等級を既存の「A+」から「AA-」へ上方調整した。後日になってようやく、S&Pは次のように弁明した。

「信用評価社(格付け業者)は過去の統計値を語るに過ぎず、1年後を予測するものではない」

現在も韓国人の多くは国家信用等級が日本より高くなったといって喜んでいる。無知な状態だったり、驚いて魂が抜けた状態(病的反日)では、是非を判断する能力が顕著に低下するようになる。このような状態を指してしばしば「愚かだ」と表現する。

「愚かさ」は普通、「頑固さ」を伴う。愚かさと言うものが普通、棺の中に入って初めて終わる(バカは死んでも治らない)というのは、この為だ。最悪な事態へと流れ、「日本と最も仲が良くない時、通貨危機がやって来る」と言う新たなジンクスが形成される状況だけは回避する事を望む。

※この記事は韓国の保守論客ファンドビルダーさんの寄稿文を日本語に翻訳したものです。韓国メディアには既に韓国語版が公開されています。翻訳の正確さに対する責任は当社にあります。

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