ムン・ジェイン(文在寅)大統領は5月27日、チョンワデ(青瓦台/韓国大統領府)で開かれた「2021国家財政戦略会議」で、「防疫状況と経済的な状況の変化に速やかに対処できるよう、必要に応じて大幅に増加した税収を活用した追加の財政投入の可能性について検討しなければならない」と述べた。これに続き7月29日、チョンワデで開かれた民間経済長官会議では「防疫状況によって民間経済活動への支障が増大するほど、政府が積極的な財政運営によって国民生活の支えとならなければならない」とし、「来年の政府予算も拡大して編成するために、財政当局と関係省庁が共に議論せよ」と指示した。
15日、国会によると、政府は、このような内容を盛り込んだ2022年予算案の草案をムン・ジェイン大統領に先週報告した。企画財政部は、政府の最終案を今月末までに整え、来月3日までに国会に提出する予定だ。
最大の争点は来年度の予算規模だ。先だって企画財政部が昨年9月に発表した「2020~2024年国家財政運営計画(総支出ベース)」によると、来年度予算は今年の本予算の暫定値{555兆800億ウォン(約52兆円)}よりも6%増加した589兆1000億ウォン(約55兆円)だ。各部署が5月までに提出した来年度予算規模は、今年の本予算の確定値{558兆ウォン(約52兆円)}よりも6.3%増加した593兆ウォン(約56兆円)だ。
当初は来年度予算が600兆ウォンを超えないものと見られていたが、今年に入り2度の補正予算を編成し、与党内の気流が変わった。今年の2次補正予算基準で、今年度予算(総支出)規模は604兆9000億ウォン(約57兆円)だ。昨年度の本予算(512兆3000億ウォン(約48兆円)よりも18、1%{92兆6000億ウォン(約8兆8000億円)}増加した。これに従い来年度の予算が政府与党の協議を経て、今年度の2次補正基準予算{604兆9000億ウォン(約57兆円)}よりも増加する可能性が高い。
企画財政部の関係者は「2022年の税収および支出の規模は現在検討中の事案で、具体的な内容についてはまだ未定」だと語り、「政府が320兆ウォン(約30兆円)の税収の見通しをもとに、610兆ウォン(約57兆5000億円)規模の予算案を編成しているとの報道は全く事実とは異なる」と釈明した。
このように、財政支出が増え、国家債務も増加する見通しだ。「2020~2024年国家財政運営計画」によると、来年の国家債務は1070兆3000億ウォン(約100兆円)、国内総生産(GDP)に対する国家債務比率は50.9%になる見通しだ。国家債務が初めて1000兆ウォンの壁を突破しGDP比の債務比率が初の50%台を記録することになる。これは2次補正を経て当初国家財政運営計画よりも支出が増えたためで、来年度の国家債務は1000兆ウォンの突破が有力だ。
したがって今年の党政協議は企画財政部とともに民主党の「2ラウンド」になる展望だ。企画財政部は国家債務とその比率を最大限減らすという立場だが、民主党は新型コロナ禍の長期化、ワクチン供給のサポートなどを考慮し、来年も拡大財政を行うという方針だからだ。
これに先立ち双方は、緊急災害支援金の支給対象について、全国民への支給と所得下位80%への支給の立場で衝突した後、所得下位88%の線で合意した。今回の「2ラウンド」でも「妥協案」を提示してくるかが注目される。
専門家は拡大財政が不可避であったとしても、無分別に「一方的支援の財政」を取ることは問題だと指摘する。ホン・ギヨンインチョン(仁川)大経営学科教授(韓国納税者連合会長)は「無分別に財政支出を乱発すればするほど、未来の世代と企業の税負担としてはね返ってくる」と懸念している。
Copyrights(C) Edaily wowkorea.jp 107