(画像提供:wowkorea)
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韓国に配備されたサード(THAAD、高高度ミサイル防衛システム)は中国の立場では「目の上のたんこぶ」だ。サードの迎撃ミサイルは射程距離が200キロで、中国が韓国に向かってミサイルによる先制攻撃さえしなければ、中国に害となることはない。

問題はレーダーだ。探知距離が800キロに達することで、中国の一部が探知される。だから中国は2017年、サードの韓国ソンジュ(星州)郡への配備に先立ち、韓国に向かって「小国が大国に対抗してもよいのか?配備されれば断交水準の苦痛を覚悟すべきだろう」と脅した。

中国内の100か所余りのロッテ(サード設置用の土地を韓国政府に提供した企業)の商業施設の内、80か所以上が営業停止に遭い、中国内の韓流が姿を消し、韓国行きの団体観光旅行が全面禁止された。

ところで探知距離が800キロであれば事実上、中国には新たな脅威ではない。既に日本の青森県と京都に探知距離が5倍(4000キロ)のレーダーが中国の主要地域の大部分を探知している状態だからだ。

さらに中国は黒龍江省の探知距離5000キロのレーダーと、内蒙古の探知距離3000キロのレーダーを通じて、既に韓半島は勿論、日本列島まで探知している。

一言で言って、韓国に対する中国のこのような高圧的態度は「大国(中国)は小国(韓国)をのぞき見してもかまわないが、小国は大国をのぞき見してはならない」と言う中華的な物の見方の発露だとしか思えない。

問題はこのような中国の傍若無人な態度に些かの反論も出来ないムン・ジェイン(文在寅)政権。中国に向かって「高い峰(中国)、小さな国(韓国)」云々と言い、むしろ屈辱的な「三不」に合意したという点だ。

中国の習近平政権と韓国の文在寅政権の間の三不合意は、(1)サードの追加配備の不可、(2)米国のMD(ミサイル防衛網)への参加の不可、(3)韓・米・日の軍事同盟の不可と言う三つからなっている。憂慮すべきことは文在寅政権が三不の合意を形式的約束(レトリック)水準でなく、実際に非常に誠実に履行中であるという事実だ。

2017年9月の国連総会での韓・米・日の首脳らによる午餐の際、文在寅大統領は米国のトランプ大統領と日本の安倍総理の面前で「日本は我が国の同盟国でない」(=韓・米・日の軍事同盟の不可)と宣言した。加えて対中国包囲網構築の為のアジア版NATO(クワッド、Quad)にも、文在寅政権は何ら関心が無い。

2017年12月に中国を訪問した文在寅大統領は北京大学での演説で「高い峰(中国)、小さな国(韓国)」と頻繁に言及し、このように強調した。「中国の夢が中国のみの夢でなく、アジア、ひいては全人類が共に夢見るものとなることを望む。韓国もその夢を共有するだろう」。

対中国包囲網構築の一環として、米国主導の対中国ミサイル防衛網(MD)が推進されたとしたら、その際、クワッド(Quad)加盟国の同意がほぼ必須だ。故にこのように「中国の夢」に心を奪われた文在寅政権は将来のクワッド・プラス(Quad Plus、加盟国拡大)にも応じる可能性が殆ど無く、韓国が保守政権に交代しない限り、米国側が如何に強く勧めても米国主導のミサイル防衛網(MD)にはあくまで参加を拒否する可能性が濃厚だ(=米国のMDへの参加の不可)。

加えてサードの追加配備は現在可能性が低そうだ。莫大な運営費用に現在も続く反対勢力の執拗な妨害、および籠城などの混乱状態を考慮する時、在韓米軍は必要な際の追加配備よりは、移動式車両発射台の長所を最大限生かして広範囲に展開することを通じて運営の効率性を高める方向に出る可能性が大きい。

万が一、今後米国がやむを得ずサードの追加配備を推進するにしても、中国の視線をうかがうのに忙しい韓国はいかなる手段を使っても決死の反対をするだろうことが明らかだ(=サードの追加配備の不可)。

一言で言って、文在寅政権は中国と約束した三不を今この瞬間も非常に誠実に遵守している最中だ。飛躍して言えば「中国の走狗」の役割に忠実な状態だ。万が一、韓国がこのような対中低姿勢(中国崇拝)の態度を露骨に続けて行くとしたら、米国の忍耐も早晩底を尽くだろう。

(つづく)

※この記事は韓国の保守論客ファンドビルダーさんの寄稿文を日本語に翻訳したものです。韓国メディアには既に韓国語版が公開されています。翻訳の正確さに対する責任は当社にあります。

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