公取委は現実を知らない…民間市場の規制拡大にITサービス業界が憂慮=韓国(画像提供:wowkorea)
公取委は現実を知らない…民間市場の規制拡大にITサービス業界が憂慮=韓国(画像提供:wowkorea)
韓国の公正取引委員会(公取委)は韓国内の大企業が系列会社に任せていたシステム統合(SI)事業の一部を外部企業に譲渡する「業務開放」基準作りに乗り出した。ITサービス企業が懸念を示している。

 大手企業のコアコンピタンスと直結するSI事業を外部企業に委託し、ややもすると営業機密が流出するなど、競争力の低下につながりかねないからだ。ITサービス業界の立場では、公共IT市場への参入が閉ざされている状況で、民間市場にまで規制が拡大するのは行き過ぎだという指摘も出ている。

 公取委は8日、「ITサービスの業務開放自律遵守基準」を大企業対象に準備していると伝えた。給食・物流に続きITサービス分野にまで規制範囲を拡大する。中小企業との’共生’が目的だ。このため、最近まで主要ITサービス企業や電子会社など、発注企業の意見を聴取していたという。来月には自律遵守基準の草案がまとめられる見通しだ。

 公取委の関係者は「経済団体などの意見をくみ上げる過程を経て、年内には最終案が出るだろう」とし、「法的根拠がある規制ではないため、従わなくても制裁があるわけではない」と述べた。

 公取委は自律遵守の基準と主張しているが、ITサービス企業は公取委のこうした動きを規制として受け止め、負担を感じている雰囲気だ。何よりも、ITサービス企業が構築する主力企業のITシステムには、核心の営業機密やノウハウまで含まれるという点で、単純サービスの性格を持つ’給食’などと違って、外部企業に任せることは現実的に容易ではないという指摘が多い。また「外部に開放するだけのことはすでにしている」という話も聞こえる。

 あるITサービス業界の役員は「(自律規制というが)いったん規制が作られれば遵守可否が評価されるしかなく、守られない場合は批判も付きまとうだろう」とし、「韓国政府でも半導体、バッテリー、5世代移動通信(5G)などを国家戦略産業に育てるために支援しているが、公取委の規制は時代錯誤だ」と指摘した。

 さらに、公共IT構築市場への参入がほぼ閉ざされている中、内部の仕事にまで手を出すこうした規制は、「ITサービス企業の両手を縛るのと同じだ」という声も上がっている。現在、韓国内の公共IT構築市場は、2013年に改正されたソフトウェア産業振興法に基づき、大手企業の参加を制限している。

 韓国ITサービス産業協会のチェ・ヒョグン会長は、「公共市場への参入を妨げておきながら、内部の仕事まで開放し、外部事業だけが残るようになれば、ITサービス企業は枯れてしまうだろう」と指摘した。

 こうした状況から、「ITサービスは容易ではない」「むしろITサービス企業をなくし、昔のように各企業の電算室に戻った方がいい」という、自嘲まじりの言葉まで出ている。
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