韓国国防部(資料写真)=(聯合ニュース)
韓国国防部(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権で2回目となる2020年版の国防白書では北朝鮮について「敵」との記述が盛り込まれなかった。また、強固な韓米同盟を強調する中、米軍主導の韓米連合軍が持つ有事作戦統制権の韓国軍への移管を「加速化」させるとした一方、「パートナー」としていた日本は「隣国」と記述するにとどめた。

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◇「敵」の包括的な概念維持 不適切との批判も

 20年版白書は前回の18年版と同じく、「わが軍は韓国の主権、国土、国民、財産を脅かし、侵害する勢力をわれわれの敵とみなす」と記述した。「北の大量破壊兵器は朝鮮半島の平和と安定に対する脅威」との記述も18年版と変わっていない。

 18年版白書で「北の政権と北の軍はわれわれの敵」との記述を削除し、「敵」を広範囲かつ包括的な概念とした定義を今回も維持した。北朝鮮に対する不要な刺激を最小限にとどめる狙いがあるとみられる。

 ただ、北朝鮮が2019年に短距離弾道ミサイルの発射実験を強行し、党大会などに合わせて新型兵器を相次いで公開している中、「北の顔色をうかがいすぎ」との批判が出そうだ。20年版白書の公表を控え、「北は主敵」との記述を盛り込むよう求める声も出ていた。

 1995年から2000年までは白書で「主敵」との記述があったが、04年からは「直接的な軍事脅威」「現存する北の軍事的な脅威」などに変更された。10年に韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈事件と延坪島砲撃事件を受け、「北の政権と北の軍は敵」との記述が再び登場し、朴槿恵(パク・クネ)前政権まで続いた。

◇有事作戦統制権の韓国軍への移管を「加速化」

 20年版白書では「わが軍は韓国の国力と軍事力に見合う責任国防の実現」との国民的な要求に応じるため、強固な韓米同盟を基盤とし「条件に基づいた移管」を積極的に推進していると記述した。その上で、「移管に必要な防衛能力を早期に拡充しながら、移管を加速化させていく」と強調した。「加速化」との記述が新たに追加され、移管を積極的に進めていく姿勢を明確にした。

 また、20年に韓米合同軍事演習を陸軍が29回、海軍が70回、空軍が66回、海兵隊が7回実施したと明らかにした。

◇日本は「隣国」に格下げ

 20年版白書には悪化した韓日関係が反映された。

 周辺国との国防交流協力について、前回と同じく日本を中国に続いて2番目に取り上げ、「日本は両国関係だけではなく、北東アジアおよび世界の平和と繁栄のためにも協力して行かなければならない隣国」と記述した。18年版白書で「両国は地理的、文化的に近い隣国であり、世界の平和と繁栄に向け共に協力していくべきパートナー」としたことから格下げした形だ。

 20年版白書では日本の政治指導者の独島関連の挑発、18年の海上自衛隊哨戒機の韓国艦艇に対する威嚇飛行と「事実をごまかした一方的なメディア発表」で両国の国防関係が難航し、19年7月の日本の対韓輸出規制措置が「未来志向の発展への障害」になっていると指摘した。

 また、韓国政府が輸出規制措置の撤回に向けた協議を条件とし、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了通知の効力を停止した状況についても言及。その上で、「今後も日本の歴史歪曲(わいきょく)、独島に対する不当な領有権主張、懸案問題でも一方的かつ恣意(しい)的な措置に対しては断固として厳しく対処する一方、共通の安保懸案については朝鮮半島と北東アジアの平和と安定のため、継続的に協力していく」と明記した。

 昨年7月に日本の防衛省が公表した20年版防衛白書でも、韓国との「幅広い協力」との記述が削除されていた。


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