外交統一委員会の全体会議で、北朝鮮へのビラ散布禁止を盛り込んだ法改正案の採決に反対して退席する野党議員=2日、ソウル(聯合ニュース)
外交統一委員会の全体会議で、北朝鮮へのビラ散布禁止を盛り込んだ法改正案の採決に反対して退席する野党議員=2日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国国会の外交統一委員会は2日に全体会議を開き、北朝鮮に向けた体制批判のビラ散布の禁止を盛り込んだ「南北関係発展に関する法律」改正案を与党「共に民主党」単独で可決した。

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 最大野党「国民の力」と野党「国民の党」の議員は法案の採決に反対し、そろって退席した。 

 改正案は、北朝鮮との軍事境界線一帯でビラを散布するなど南北合意書に違反する行為を行った場合、3年以下の懲役または3000万ウォン(約280万円)以下の罰金に処することができると定めている。

 これに対し、野党側は憲法が保障する表現の自由を過度に制限するものだとして反対してきたが、与党は南北境界地域に暮らす住民の安全を守るため成立が急がれるとして採決を強行した。

 改正案を代表発議した共に民主党所属の宋永吉(ソン・ヨンギル)外交統一委員長は「表現の自由は保障される」としながらも、「これを制限する理由は軍事境界線付近の住民が脅威を感じると訴えているためだ」と強調した。

 野党議員は法案の処理を中止すべきだと反発している。国民の力の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)議員は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)の妹である金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長がビラ散布を非難しなければ禁止に向けた法改正に動いていなかったはずだと指摘し、「この法案は明らかな『金与正下命法』『金与正尊敬法』『金与正称賛法』」だと激しく非難した。その上で、改正案が成立すれば党として憲法裁判所に違憲かどうかの判断を仰ぐ考えを示した。

 野党議員は採決棄権後に記者会見し、「金与正の一言に韓国の政府と国会までが動いた、かつてない屈従的な事態。文在寅(ムン・ジェイン)政権と共に民主党は北の金正恩政権を維持するため、違憲的な対北ビラ散布禁止法を通過させた」と主張した。

 金与正氏は今年6月、韓国の脱北者団体が北朝鮮に向け体制非難のビラを飛ばしていることに不快感を示し、韓国当局が措置を取らなければ南北軍事合意の破棄もあり得ると圧力をかけた。


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