最近、新型コロナウイルス感染症の3次大流行でパニックに陥った世界各国とは異なり、台湾は4月以降200日以上も国内感染者が‘0人’だ。
過去、SARSにひどく苦しめられた台湾が、国家・個人レベルで事前に感染病にあらかじめ備えてきたためだという分析が出ている。
27日基準で台湾のコロナ感染者は625人、死亡者は7人であり、人口数が近い他の国に比べて顕著に低い数値だ。オーストラリアは感染者2万7873人、死者900人ほどで、スリランカの感染者は2万2028人、死者は100人に達する。
韓国は28日0時基準の新規感染者は504人で、26日に583人を記録した後、3日連続500人台だ。1日当たりの感染者が300人台だった先週に比べて200人以上増加し、事実上3次大流行になっている状態だ。
◇国家レベルでの先制的感染症対応計画
台湾の感染者数が少ない理由は、SARSにひどく苦しんだ台湾政府と国民がその後、感染病に対応できるよう徹底的に準備したおかげだ。
台湾は2003年のSARS当時、346人の感染者が出て、そのうち37人が死亡し、世界で4番目にSARS被害が大きかった国だった。
英国の医学専門誌‘ランシット‘は、台湾が2003年のSARS大流行以後、新しい病原体にも適用できる感染症対応計画を立てていた点を防疫成功の要因に挙げた。
台湾は2005年、衛生福利部・疾病管理署（CDC）傘下組織として国家衛生指揮センターを設立し、傘下に非常設組織として中央伝染病統制指揮センター（CECC）を開設した。2009年、新型インフルエンザの時も役割を果たしたこの組織は、コロナが拡散すると、1級機関に格上げされ、感染病の統制に大きな役割を果たした。
また、感染症に対する医療システムの緊急対応力を高めるため、‘感染症予防治療医療ネットワーク’を構築し、これにより中央の疾病管制署や圏域別疾病管制センター、圏域・地域別病院などとの連携を強化した。
感染病を統制できる法的基盤も先制的に設けた。台湾はSARS以後、伝染病防止法、疾病管理局組織法、衛生署組織法などの法制改編を通じて、防疫関連法規の強制力を強化し、伝染病統制管理およびモニタリングシステムを設けるなどの措置を先制的に取った。
これを土台に台湾はコロナ拡散初期の疾病の海外流入統制、防疫物資管理、検疫管理・監督強化などの対応措置を迅速に行うことができた。
対外経済政策研究院のオ・ユンミ責任研究員は「台湾のコロナ事態への対応と示唆点」と題した報告書で、「SARSの経験をもとに、政府が再整備・構築した感染病管理・統制システムや医療体系関連法律の改正などで台湾の衛生防疫能力が向上し、そのおかげでコロナ事態に先制的に対応することができた」と評価した。
◇マスクの着用・手洗いに適応した台湾国民
もう1つの理由は、台湾国民がSARS以後、防疫指針を習慣化したおかげだ。致命的だったSARSの経験は、国民にも警戒心を植え付けた。
台湾は、コロナ拡散初期の2月から、すべての住民にマスクを配布できるようにマスク実名制を実施し、地域感染がない期間にも公共の場所などではマスクの着用を義務づけた。政府がマスクの管理・統制をしっかりしたことに加え、市民らがマスクをきちんと着用していたため、効果が倍になった。
米国の時事週刊誌タイムは「台湾は伝染病流行に対する緊急対応ネットワークを作り始め、鳥インフルエンザ（AI）、H1N1インフルエンザウイルスなどを経験しながら、市民が手洗いやマスク着用などの指針を正確に理解している」と分析した。
韓国の政策企画委員会の研究報告書によると、実際にコロナ発生以前にも台湾では風邪などの疾病にも伝染を防ぐためのマスク着用が普遍化していた。そのおかげで、コロナの状況でもマスクの着用と手洗いに対する市民の協力はきちんと行われていた。
専門家らも同様に、マスクの着用が重要だと強調する。イデ（梨大）モクドン（木洞）病院呼吸器内科のチョン・ウンミ教授は「韓国国民も同様にMERS（中東呼吸器症候群）の経験や微細粉塵などによってマスクの重要性を知っており、そのため1次・2次流行時に防疫効果があった」と述べた。
続いて「マスクをしっかり着用したおかげで今度の冬は結核、インフルエンザなどの感染病患者が確実に減った」とし「今回の経験を通じて、コロナ以後も季節の変わり目で公共交通機関などを利用する際には、マスクを着用する文化が定着しなければならない」と付け加えた。
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