韓国が日本企業の在韓資産を現金化した場合、日本の対応を予想してきた。今回は現金化による「在日韓国人」への影響に関して調べてみる。

 1965年の「日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定(在日韓国人の法的地位協定)」が無効化・空洞化される可能性のことである。

 韓国が旧朝鮮半島出身者らへの慰謝料・賠償金の為に日本製鉄の在韓資産を現金化した場合、日本では1965年の「日韓請求権並びに経済協力協定」違反行為と解釈されることになる。

 日本としては「日韓基本条約」本文及びその付属協定・交換公文というパッケージの一体性を維持する措置をとることになるはず。「ビュッフェ式」または「摘み食い式」の容認は出来ず、日本も同様に「日韓基本条約」本文及びその付属協定・交換公文に制約されず、対抗措置・制裁を取り得るからだ。

 それではその付属協定「日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定(在日韓国人の法的地位協定)」に日本が拘束されず、対韓対抗措置・制裁を取る場合について考えてみよう。

 1965年の在日韓国人の法的地位協定では所謂「(内乱等の重大犯罪以外では強制退去の対象にならない等、一般的な意味での永住権とは別枠かつ特権的な)協定永住権」が付与された。サンフランシスコ講和条約以前よりの在住者とその子供(外地戸籍に属したものの、講和条約により国籍離脱をさせられた親子)に対するものである。

 そもそも1950~60年代当時、在日コリアンは南であれ、北であれ、いずれは帰国するものだと言う前提があった。しかし、孫世代以降の法的不安定、朝鮮籍を維持した者や台湾出身者らとの不均衡の問題も生じた。

 結果、25年後の再協議義務もあって1991年に「日韓法的地位協定に基づく協議の結果に関する覚書」が結ばれた。同時に「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」が成立した。これによって外地戸籍(日本国籍)に属したものの、講和条約により国籍離脱をさせられた朝鮮半島・台湾出身者とその子孫に「特別永住権」が付与される事となった。

 従って、もし日本が「在日韓国人の法的地位協定」に拘束されずに対韓対抗措置・制裁を取る場合は、「日韓法的地位協定に基づく協議の結果に関する覚書」と「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」にも拘束されなくなるのだ。

 そうなると、1)在日韓国人の持つ特別永住権の剥奪(実務的・現実的には一般永住権への強制転換)、2)強制退去の徹底的な遂行、3)「特別永住権」故に有利な帰化の廃止、4)元「特別永住権」者の帰化取り消し(国籍剥奪)等が対韓対抗措置・制裁として想定される。

 移民を受け入れる、極めて人権を重視しているとされる欧米先進諸国でも、虚偽の事実や要件に基づく永住や帰化申請だったり、重大な犯罪を犯したり等した場合には、永住権の剥奪は勿論、帰化済みの国民でも国籍剥奪と出身国等への追放はしばしば見受けられる。

 日本居住の外国人を一元的に扱うためには「特別永住権」は無くされ、「一般永住権」に一元化される可能性がある。だが、これらの多くは現行の憲法、法律、また戦後の判例等を見ると、日本国憲法上の違憲の可能性がある。

 また在日外国人全般に同情的な世論や進歩派の抵抗もあって、国内政治上、困難が予想される。つまり、特別永住権の剥奪や一般永住権への強制転換は、不利な条件への転換・変更だけに、長期間の法廷闘争が予想される。

 従って現実的な手段としては、「一般永住権」への一元化とその法制化の準備を始めつつ、虚偽の事実や要件に基づく永住や帰化申請をしたり、重大な罪を犯したりした場合には、永住権の剥奪は勿論、帰化済みの国民でも国籍剥奪と出身国等への追放を合法化(合憲化)が出来る様になる可能性がある。こうする事で日本の韓国に対する外交・交渉のカードとして、圧力として作用するかもしれない。

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