北朝鮮の大同江ビール=(朝鮮中央通信=聯合ニュース)
北朝鮮の大同江ビール=(朝鮮中央通信=聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国政府が実現を目指す「物々交換」による南北経済協力を巡り、国際社会の対北朝鮮制裁に抵触しないかどうかが関心を集めている。政府は制裁対象品目を外すなどして制裁に違反しないよう努める方針だが、取引相手が制裁対象になっている可能性に留意すべきとの指摘もある。 韓国統一部は、物々交換による北朝鮮との「小さな交易」を検討している。李仁栄(イ・イニョン)同部長官は、7月末に就任する以前から北朝鮮のミネラルウオーターや酒と韓国のコメ、薬品を交換する交易を提案していた。 統一部は、物々交換の形を取れば北朝鮮との銀行間取引や大量の現金の移転が発生しないため、制裁に引っかからないとみている。 北朝鮮の輸出・輸入が禁止されている品目は物々交換の対象から外す方針だ。 李氏が例として挙げた北朝鮮産のミネラルウオーターやビールは、制裁対象品目になっていない。2017年末に採択された国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議は、北朝鮮の輸出禁止品目を食料品や農産物(HSコード12、8、7)に拡大したが、ミネラルウオーターやビールなどの飲料はHSコードが異なるため該当しない。 韓国の「南北経総統一農事協同組合」はこのほど、6月末に北朝鮮の「開城高麗人参貿易会社」などと北朝鮮の酒と韓国の砂糖を交換する契約を結んだと明らかにした。この酒は北朝鮮からの輸出が可能で、韓国の砂糖も北朝鮮の輸入禁止品目ではない。 運送と関連し、米国は北朝鮮を訪問した船舶や航空機の自国への入港・着陸を180日間禁止しているが、中国の仲介会社を通して北朝鮮と取引すれば、これも問題になる可能性は低そうだ。 統一部は物々交換について、「対北制裁に該当しない品目を対象とし、現物で対価を支払い、第三国を通じて運送するなど、制裁に違反しないように推進する予定だ」としている。 このように、物々交換は概念上では問題はなさそうだが、仮に取引相手の北朝鮮の企業や団体が国連または米国の制裁対象に含まれていれば、問題となる可能性がある。 制裁問題に詳しい米国の弁護士は、米政府系のラジオ自由アジア(RFA)に「(取引相手が)国連や米国の制裁対象の子会社や幽霊会社だった場合、制裁違反になる」と語り、韓国の政府と企業はそうでないことを確認する負担を負わねばならないと主張した。
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