WTOの事務局長選挙に韓国の兪明希氏(右)をはじめ5カ国の候補者が出馬した(コラージュ)=(聯合ニュース)
WTOの事務局長選挙に韓国の兪明希氏(右)をはじめ5カ国の候補者が出馬した(コラージュ)=(聯合ニュース)
【世宗聯合ニュース】世界貿易機関(WTO)の事務局長選挙への立候補の届け出が8日(現地時間)、締め切られる。韓国政府は産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長(次官級)を出馬させ、本格的な選挙キャンペーンに突入する体制を整えた。世界の外交ネットワークを総動員し、WTO加盟国の支持取り付けに乗り出す方針だ。

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 WTOによると、締め切り前日の7日までに韓国をはじめメキシコ、ナイジェリア、エジプト、モルドバの5カ国の候補者が名乗りを上げた。事務局長候補の最右翼とされた欧州連合(EU)欧州委員会のホーガン委員(通商担当)は出馬断念を表明した。

 先進国が候補を立てていないことから、現在の筋書き通りに進めば韓国人初となるWTO事務局長輩出の可能性もあると分析される。

 事務局長の選出までは通常6か月かかるが、リーダーが空席となる期間を減らすため、手続きを早める可能性が高い。

 韓国がWTO事務局長に挑戦するのは今回が3回目。政府内外では「やってみる価値はある」との雰囲気が広がっている。青瓦台(大統領府)の金尚祖(キム・サンジョ)政策室長は先ごろ、ラジオ番組に出演して「十分に勝算がある」との考えを示した。

 メキシコの場合、経済協力開発機構(OECD)の事務総長を同国出身者が務めており、加盟国の間でけん制心理が働くことが考えられる。また、加盟国の3分の1を占めるアフリカは候補の一本化に失敗し、票が割れる可能性がある。

 これに対し、韓国は「中堅国」の地位を強調して票田を攻略する計画だ。利害関係が絡み合う米国、中国、欧州の間で中立国としての役割を果たすことができ、先進国と開発途上国の間でも仲裁役になれるとの論理だ。

 兪氏が25年間、通商一筋で歩んできた専門家だという点、新型コロナウイルス対策で世界的に女性のリーダーシップが注目されている点も攻略ポイントに挙げられる。これまでWTO事務局長を女性が務めた例はない。

 一方、日本は韓国人の立候補に反対姿勢を見せているが、韓国政府は大きな問題にならないとの立場だ。政府関係者は「日本が反対すれば、感情的で偏狭な対応をしていると自ら示すことになり、逆効果になる可能性がある」と述べた。

 金政策室長も「日本はアジアにおける主導権を失いかねないと懸念しているため、韓国の候補がWTOの事務局長になることは当然うれしくないだろう」とし、「それに備え、われわれも資源を総動員する」と強調した。

 通商専門家らは、最終的に米国と中国の票をつかむことが重要だと口をそろえる。トランプ米大統領は「WTOが中国を開発途上国として特別扱いし、米国は冷遇されている」としてWTOを露骨に批判した。

 ある通商専門家は「米国と中国がそれぞれ希望の候補を推すために他国を従わせる可能性が高い」とし、近ごろ米中貿易摩擦が激化している上、11月に米大統領選を控えており、自国側につくよう強要するのではないかとの見方を示した。


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