青瓦台(右)は金与正氏の談話を強く批判した=(聯合ニュースTV)
青瓦台(右)は金与正氏の談話を強く批判した=(聯合ニュースTV)
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)の妹、金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長が17日、南北共同宣言20周年にあたり南北交流と協力を呼びかけた文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領の発言をあからさまに非難する談話を発表したことに対し、韓国青瓦台(大統領府)は「無礼」「非常識な行為」などと強く批判した。これまで北朝鮮による韓国への非難に取り合わない姿勢を貫いてきたのとは対照的で、南北間で積み上げてきた合意の精神を無視する言動まで黙過することはできないとの判断が背景にあるようだ。青瓦台が強腰に転じていることから、当面は南北間の対立が避けられないとみられている。

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 文大統領は15日の首席秘書官・補佐官会議で、2018年4月と9月の南北首脳会談でそれぞれ署名した板門店宣言と平壌共同宣言について、「重い約束」「揺らいではならない確固たる原則」と強調した。南北対話もこうした合意の精神に基づいて行われるべきとの姿勢を示したものと受け止められた。

 こうした中、北朝鮮は16日、板門店宣言に基づいて設置された開城の南北共同連絡事務所を爆破し、金与正氏は談話で文大統領の発言を「鉄面皮の詭弁(きべん)」などとこき下ろした。青瓦台としても許容範囲を超えたと判断し、異例の強い語調で応酬に出たということだ。

 また、韓国側からの特使派遣提案を北朝鮮が一方的に公にしたことを巡っても、青瓦台は「前例のない非常識な行為」として強い遺憾を表明した。南北対話における最低限の信頼が損なわれたとの指摘だ。

 結局のところ、青瓦台はこれまで積み上げてきた合意の精神と首脳間の信頼という二つの軸が崩れれば南北関係は一段と困難にならざるを得ないため、今は強力な対応が必要だと判断したようだ。これ以上、北朝鮮の威嚇に沈黙を守り続ければ主導権を北朝鮮に渡したまま振り回され、関係修復が一段と難しくなりかねないとの懸念もうかがえる。

 青瓦台が強硬姿勢に転じていることから、当分は南北間の対立は必至とみられる。文在寅政権の対北朝鮮政策の路線が変化し、対立局面が予想より長引くとの観測もある。対話を通じた交流・協力という大枠は変わらないとみられるものの、これまでのように北朝鮮の非難に耐えるばかりではない可能性が高い。


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