ソウル・中区保健所の前に設けられた診療所=(聯合ニュース)
ソウル・中区保健所の前に設けられた診療所=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】肺炎を引き起こす新型コロナウイルスを巡り、韓国でも海外への渡航歴や感染者との接触歴がない患者が相次いで発生した。医療界では明らかな感染経路が特定できない感染者が発生したことで、いわゆる「市中感染」が始まったと見なすべきだとの分析が出ている。

 

 地方自治体と韓国政府の中央防疫対策本部によると、19日にソウルの城東区で新たに感染が確認された70代の韓国人男性も、海外渡航歴や新型コロナウイルスの感染者との接触歴がない事例だ。

 同日には全国で計15人の感染が確認され、このうち13人が南東部の大邱とその周辺の慶尚北道地域で発生しているが、13人中11人は海外渡航歴や感染者との接触歴がない31人目の患者から感染が広がったものと推定される。

 海外渡航歴や感染者との接触歴がない感染者が増えていることで、医療界では事実上の市中感染が始まったとみている。

 医師協会は「どこで感染したか分からない感染者が発生しており、客観的な市中感染拡散の根拠が積み重なっている」と指摘。「汚染地域への旅行や感染者との接触有無を問わず、新型コロナウイルスの感染を疑わなければならない状況が目前に迫っているという意味だ」と説明した。

 中央防疫対策本部はまだ明確な立場を示せる段階ではないとしているが、29人目と30人目の感染者が発生した際には「感染経路を特定できなければ、市中感染と判断されるだろう」と含みを持たせ、海外の事例を挙げて国内でも新たな流行の局面に移る可能性があるとの見方を示した。

 同部の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)本部長は18日の会見で、「香港やシンガポール、日本、タイ、台湾などでは当初、中国から入国した患者とその知人、濃厚接触者から感染者が発生していたが、2月中旬ごろからは地域社会の疫学的関連性が確認できない患者が報告されている」と説明。中国の湖北省・武漢から始まった流行が2次、3次感染者を通じて別の流行へと進んでいるとして、韓国でもこのような感染者の報告が増える可能性があると述べていた。

 中央防疫対策本部は19日午前、新たに15人の感染が確認されたと発表した。韓国での感染者数は計46人となった。


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