文氏が強制徴用被害者への賠償問題の解決策として表明した法案の成案を得て、共同発議の手続きに入ったことが分かった(イラスト)=(聯合ニュース)
文氏が強制徴用被害者への賠償問題の解決策として表明した法案の成案を得て、共同発議の手続きに入ったことが分かった(イラスト)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が強制徴用被害者への賠償問題の解決策として表明したいわゆる「1プラス1プラスアルファ」法案の成案を得て、共同発議の手続きに入ったことが16日、分かった。 政界関係者によると、文氏は各国会議員に両国の企業と国民が自発的に募った寄付金で「記憶・和解・未来財団」を設立する「記憶・和解・未来財団法案」の制定案に対する共同発議の要請を行っている。 国会関係者は聯合ニュースに対し、「発議に必要な最小の発議者数10人を満たせば発議する」として、「早ければ17日、または18日ごろ発議する」と明らかにした。 同法案は強制徴用被害者が財団から慰謝料を受け取る場合、大法院(最高裁)判決による日本企業の韓国内資産差し押さえの強制執行の請求権、または裁判請求権を放棄したものと見なすと規定した。ただ、被害者が慰謝料を受け取る際、損害賠償請求事件などが裁判所で進められている場合、財団は訴訟の取り下げを条件に慰謝料を支給できるようにした。 また、財団が強制徴用被害者に慰謝料を支給すれば、「第三者任意返済」と見なすとした。被害者の承諾を得て、財団が「債権者代位権(債務者が持っている権利を代わって行使できる権利)」を取得したと判断するという。 こうした内容は謝罪をしていない日本政府に免罪符を与える可能性があるなどの理由で市民団体が強く反発しており、論争を呼びそうだ。 慰謝料の支給対象は「強制動員被害者」とした。当初、含める予定だった旧日本軍の慰安婦被害者は除外した。慰安婦被害者の支援団体などが反発したためだ。 親日反民族行為者らに対しては慰謝料を支給せず、韓日請求権協定による財政的・民事的な債務関係に関する事項は同法案の適用範囲に含めない条項も盛り込んだ。 慰謝料については、「満州事変以降太平洋戦争に至る時期に国外強制動員された期間中にあった反人道的な不法行為に対する精神的な被害に相応する金銭」と規定した。 文氏は同法案を提案した理由について1998年に当時の金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相が発表した「韓日共同宣言(21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ)」を取り上げ、「(宣言での)日本政府の反省・謝罪の意を再確認し、これに基づいて悪化の一途をたどっている韓日の両国関係が過去を直視すると同時に、未来志向の関係に進むよう、呼び水の役割を果たす政治的・立法的な解決策として法案を提案する」と明らかにした。また、「両国の企業と国民の寄付金でつくられた財源で国外強制動員被害者への慰謝料支給問題の解決策を盛り込んだ先制的な立法を通じ、両国が対立する懸案について包括的に交渉し譲歩・和解できる大義名分を提供することを期待する」と説明した。 ただ、文氏は同法案の発議に賛同するよう呼び掛けているが、裁判請求権の放棄などに対する市民団体の反発が強く、発議に参加するかどうかを熟慮している議員もいるようだ。被害者である韓国企業と国民からも寄付金を募ることや、自発的な募金のため強制徴用を行った日本企業が参加しなくても特別な制裁方法がないことも問題とされる。議員の関係者は「議論の的になる内容があり、市民団体から発議に参加しないよう求める要請と圧力があり、発議に参加するかどうか悩んでいる」と述べた。 文氏は同法案とともに、強制徴用被害の調査などを行う対日抗争期強制動員被害調査・国外強制動員犠牲者などの支援委員会の再構成に向けた特別法の改正案も発議する。改正案は2015年12月31日に活動が終了した委員会を再度設置し、活動期限は最大3年とした。委員会の構成から2年後に大統領の承認を得て1年延長できる。
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