米朝の非核化交渉が再開する兆しを見せていることに加え、一部では3回目の米朝首脳会談が年内に開催される可能性があるとの見方も出ていることから、「促進者」の役割を自認する文大統領の今回の訪米には関心が集まっていた。
文大統領は訪米中に行ったトランプ大統領との首脳会談で、北朝鮮に向け「70年にわたる敵対関係を終息させ、関係を転換させる」とのメッセージを発信するなど、米朝対話を進展させるための足場作りに注力した。
韓国の青瓦台(大統領府)内では朝鮮半島平和プロセスが完全に本来の軌道に戻ったとの評価も出ている。
ただ、トランプ大統領が言及した非核化の「新たなアプローチ」や、北朝鮮が要求する制裁緩和・体制保障に対する具体的な議論が出てこないため、一部では総論を確認するだけで終わったとの指摘も提起された。
◇「武力行使せず、敵対関係終息」を言及
青瓦台関係者は23日、韓米首脳会談後に行われた会見で、「両首脳は北が非核化を行う場合、明るい未来を提供するという従来の公約を再確認した」と述べた。
事実上、北朝鮮に対して武力を行使しないとの原則を示したもので、非核化交渉が進展する兆しを見せる中、北朝鮮の対話への意思を活かすことが最優先との判断による結果とみられる。
文大統領が国連総会の一般討論演説で南北軍事境界線を挟む非武装地帯(DMZ)の「国際平和地帯化構想」を打ち出したことが、北朝鮮の安全保障と関連して実質的な効果を発揮する「相応の措置」に当たる点も注目される。
このように北朝鮮に対する「安全保障」や「敵対関係の終息」などの総論については韓米首脳が一致したものの、2回目の米朝首脳会談で合意に至らなかった原因に挙げられる非核化の方法について、立場の違いを埋める議論が行われなかったとの指摘も一部で出ている。
北朝鮮が主張する体制の保障や制裁緩和についての明快な言及はなかった。
実質的な成果を得るための鍵となる非核化に向けたロードマップ(行程表)の調整は今回の会談では進展せず、実務交渉の場に委ねることになったといえる。
◇堅固な韓米同盟を再確認 在韓米軍の駐留経費交渉が本格化
韓米は今回の首脳会談で堅固な韓米同盟を再確認したと発表した。
訪米前には、韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)の終了決定などを巡り、韓米関係に亀裂が入ったとの指摘も出ていた。
今回の会談後、ホワイトハウスは報道資料を出し、「両首脳は韓米同盟が朝鮮半島と領域内の平和と安全保障の中心軸であることを再確認した」と強調するなど、このような懸念を払拭(ふっしょく)したと評価される。
ただ、今回の会談を通じて韓米が解決策を見つけなければならない課題が本格的に水面上に浮び上がったという点に注目しなければならないという意見も一部で出ている。
2020年以降の在韓米軍の駐留経費負担(思いやり予算)を巡る交渉がその代表例だ。青瓦台関係者は「文大統領は韓米会談で合理的な水準の公平な分担を強調した」とし、「わが政府は増加を続ける国防予算、米国製兵器の購入増加、駐留経費負担の増加など韓米同盟などに寄与したわが政府の努力を詳細に説明した」と明らかにした。
ただトランプ大統領も国連総会の一般討論演説で同盟国に対し、防衛費の公正な分担が必要と力説するなど、引き上げを示唆する発言をした。
米国製兵器の購入も今回の訪米で新たに注目された議題の一つだ。文大統領がトランプ大統領に対し、韓国政府の兵器購入について、過去10年間の状況や向こう3年間の計画を明らかにしたことで、在韓米軍駐留経費負担の交渉にどのような影響を及ぼすのか注目される。
一方、今回の会談では韓日関係に対する言及はほとんど行われなかった。一部では、文大統領と安倍晋三首相が対面する可能性が取り沙汰されていたが、両首脳の会談は実現しなかった。
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