韓日関係が最悪の危機に直面している。6月末に大阪で開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、文大統領(右)と安倍首相は会談を開かなかった(資料写真)=(聯合ニュース)
韓日関係が最悪の危機に直面している。6月末に大阪で開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、文大統領(右)と安倍首相は会談を開かなかった(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓日関係が1965年の国交正常化以降で最悪の危機を迎えている。これまで、2012年8月に当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領が独島を訪問してから朴槿恵(パク・クネ)政権時の15年12月に旧日本軍の慰安婦問題を巡る韓日合意が結ばれるまでが最も両国関係が悪かったとの指摘があったが、日本政府が韓国への不当な経済報復にまで乗り出した今は当時よりさらに険悪といわれる。

 日本は今月4日、スマートフォンのディスプレーなどに用いるフッ化ポリイミド、半導体製造で使うレジスト(感光材)、フッ化水素の3品目の韓国向け輸出手続きを煩雑にする輸出規制強化措置を取った。それまでは韓国に輸出する企業が3年間有効な包括的許可を取れば個別に許可を得る必要がなかったが、個別の輸出ごとに審査を経て許可を得るよう改めた。

 日本はさらに、安全保障上の友好国として輸出手続きの優遇措置を与える「ホワイト国」から近く韓国を除外する方針だ。

 抑え目に対応していた韓国政府はこうした日本の一方的な措置を受け、次第に強硬姿勢を示している。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、「日本経済により大きな被害が及ぶことを警告する」と強い口調で述べた。

 日本の経済報復による韓国半導体産業の被害が懸念される中、韓国国内では日本製品の不買運動が起き、日本旅行のキャンセルが相次いだ。両国間のあつれきはすでに人的交流や経済交流にも影響を及ぼしている。

 米ソ冷戦のさなかに国交を正常化して以降、韓日は歴史問題を巡り関係の浮き沈みを経ながらも、経済と安保に関する共通の利害関係に基づき少なくとも表向きは友好関係を保ってきたが、今はその関係が最悪の危機に陥っている。

 日本は韓国への不当な経済報復措置について、「信頼関係が損なわれた」ことや「輸出管理を巡り不適切な事案が発生した」ことなどを理由に挙げた。

 だが、強制徴用訴訟を巡る昨年10月の韓国大法院(最高裁)の賠償命令に基づき日本企業の韓国内資産が差し押さえられ、売却手続きが進んでいること、徴用訴訟に関する仲裁委員会の設置要求に韓国政府が応じないことを受け、選挙(今月21日の参院選)という政治イベントを前に報復的な措置に出たと見る向きが多い。

 徴用訴訟の賠償命令に限らず、文政権での慰安婦合意の検証と被害者支援財団の解散までを含めた韓国政府と裁判所の「歴史を正す」ための行動を、日本は「合意を守らない」「ゴールポストを動かしている」と判断し、報復に踏み切ったとの分析もある。

 日本の一方的な措置で深まる韓日のあつれきについて、日本の植民地統治に協力した「親日」派の清算を掲げる文大統領と、歴史修正主義的な傾向の強い安倍晋三首相の間の必然的な衝突と見る構造的な分析もある。

 また、より広い観点から、1965年の韓日基本条約に立脚した体制の終焉(しゅうえん)を指摘する人もいる。54年前、経済建設のための資金を欲していた開発途上国とアジアの経済大国が結んだ条約が、現在の韓日関係と変化した韓国人の人権意識を反映できない限界があるというものだ。

 特に、1910年の韓日併合条約が違法か合法かを巡り、65年に両国政府はそれぞれ自国の立場に沿って解釈できるあいまいな表現で基本条約を締結したが、韓国大法院が昨年、それを明確に違法とする判断を示した以上、もはや互いにあいまいなままでは満足できない状況になったとの指摘が存在する。

 また、経済分野で韓国をけん制しようとする日本の思惑、昨年以降の朝鮮半島情勢の変化に対する利害関係の違い、中国と北朝鮮に対する認識の差も絡み、韓日間の葛藤は人々が思うよりも複雑だと専門家らは説明している。

 結局のところ、両国は国の威信と国民感情が絡んだ「チキンレース」をしている状況で、あつれきは簡単には解消しないとの見方が多い。

 だが、このままではいけないという懸念は韓日両国だけでなく米国内でも出ており、韓国、日本とそれぞれ軍事同盟関係を結ぶ米国の関与が目下のところ注目されている。スティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は17日、ソウルで韓日間の対立と関連し、「米国は近い友人かつ同盟国として、彼らの(対立)解決に向けた努力を支援するため、できることをする」と述べた。

 米国が韓米日の対北朝鮮協力を維持するためにも舞台裏で韓日間の破局を食い止める役割を果たすとの見方がある一方で、日米首脳が蜜月関係を保っていることや、トランプ米大統領が韓日の歴史問題についてどれほど深く理解しているのかはっきりしないことから、米国が普遍的価値観に基づいて公正な「仲裁」をするとは期待し難いとの指摘もある。

 関係の立て直しに向けては、まずは韓日間で最低限の対話チャンネルを復活させ、問題の解決を巡り2国間で虚心坦懐(たんかい)に議論する必要があると指摘される。また、韓国政府は日本に不当な報復措置の撤回を強く求めながらも、戦略的判断に基づいた対応を取るべきだとの声も次第に強まっている。


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