韓国政府が国際機関を通じた対北朝鮮人道支援を実施する(コラージュ)=(聯合ニュースTV)
韓国政府が国際機関を通じた対北朝鮮人道支援を実施する(コラージュ)=(聯合ニュースTV)
【ソウル聯合ニュース】韓国政府は5日、北朝鮮の社会的弱者を援助する国際機関の事業に800万ドル(約8億6500万円)を支援するための手続きを完了し、文在寅(ムン・ジェイン)政権の対北朝鮮人道支援が最初の一歩を踏み出すことになった。

 政府はこの日、南北交流協力推進協議会で、国連世界食糧計画(WFP)と国連児童基金(ユニセフ)の対北朝鮮人道支援事業に南北交流協力基金から総額800万ドルを無償支援する案を議決した。WFPによる北朝鮮の乳幼児や妊産婦への栄養支援事業に450万ドル、ユニセフによる北朝鮮での母子保健事業に350万ドルを拠出する。

 政府は国際機関に支援実行の決定を伝え、早ければ来週のうちに送金するという。

 国際機関を通じた当局による対北朝鮮人道支援は事実上、文在寅政権で初めてとなる。政府は2017年9月、WFPとユニセフの対北朝鮮人道支援事業への800万ドル支援を決定し、南北交流協力推進協議会での議決手続きまで踏んだが、当時は北朝鮮の度重なる挑発で世論が悪化し、米国が北朝鮮への圧力を継続していたことなどから実施は保留した。

 だが先月3日、北朝鮮の最近の食糧事情に関する比較的客観的な実態を記した国連食糧農業機関(FAO)とWFPの調査報告書が発表され、政府内の雰囲気が変わり始めた。報告書によると、北朝鮮の食糧事情はここ10年間で最悪の状況にあり、今年(18年11月~19年10月)だけでも約136万トンの食糧が不足している。

 報告書発表の4日後には、トランプ米大統領が文在寅大統領との電話会談で北朝鮮への人道支援を支持する意向を示した。先月上旬には北朝鮮が短距離ミサイルの発射を強行したが、政府は同17日、北朝鮮住民への人道支援は政治状況とは関係なく続けるとの立場を示し、国際機関を通じた800万ドルの供与を再び推進することを表明した。

 今回の人道支援を機に、政府は北朝鮮への食糧支援の推進にも本腰を入れる見通しだ。政府はすでに、国際機関と約束した供与とは別に、各界各層の意見を取りまとめて北朝鮮への食糧支援の時期や規模を決定する方針を示している。直接支援や国際機関を通じた間接支援など、さまざまな方法を内部で検討中とされる。


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