李姫鎬氏(2017年1月撮影、資料写真)=(聯合ニュース)
李姫鎬氏(2017年1月撮影、資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の全斗煥(チョン・ドゥファン)政権時の外務部(現・外交部)関係者が、後に大統領となる金大中(キム・デジュン)氏の夫人の李姫鎬(イ・ヒホ)氏に対する生活費伝達と面談を巡り在韓米国大使館側と舌戦を繰り広げていたことが、外交文書から明らかになった。

 韓国与党「共に民主党」の金炳基(キム・ビョンギ)国会議員が23日までに入手した機密解除された外交文書によると、金大中氏が5・18民主化運動(光州事件)で内乱陰謀罪などに問われて拘禁され、家族らが自宅軟禁の状態に置かれていた1980年12月1日ごろ、米大使館は各界から寄せられた生活費を全て李姫鎬氏に渡せるかどうか、李氏の健康状態を確かめるための面談が可能かどうかを外務部に問い合わせた。

 これに対し、外務部は同大使館の政務参事官を呼び、生活費を渡すことについて「奨励しない」と回答し、面談要請については「非常に不愉快に思う」との意向を伝えた。

 当時の面会の速記録を見ると、外務部の米州局審議官は生活費の伝達に関し「送金額が単なる生計補助費以上に巨額だったり、義援金の募金キャンペーンが発生してメディアに報じられたりするなど政治的副作用があり得るという点に留意してほしい」と厳しく警告した。

 また、米大使館の政務参事官が「この問題を提起した理由は、郵便物が検閲されたり家族に届かなかったりすることを心配しているためだ」と検閲の可能性に言及すると、外務部の審議官は「政府が特定人に対する郵便物伝達に関与することはない」と反論した。

 李姫鎬氏との面談を巡ってはさらに鋭い舌戦が繰り広げられた。外務部の審議官は「外国の公館員が内乱陰謀罪で裁判が行われている被告人の家族のもとを訪れ、健康状態を確認するというのは、いかに友邦国間だとしても一般的な外交活動の範囲を超えているだけでなく、大法院(最高裁)の最終判決を待つ現時点で余計な雑音を招きかねないため、望ましくない」と抗議した。その上で、「(李氏に対する)訪問が調査目的で行われるということに対しては、駐在国政府への礼譲において極めて望ましくない上、わが政府としてはこれを非常に不愉快に思う」と表明した。

 これに対し、米大使館の政務参事官は「米政府は米国内の各国公館に自由な活動を最大限保障している」としながら、金大中氏の家族に対する面談がかなわないなら「失望が大きい」と言い返した。また、韓国側の回答を米国本国に報告することを告げた上で、「ワシントンがどう反応するか分からない」と不快感を示した。

 金炳基議員は「全斗煥政権は李姫鎬氏に対する米政府の人道的な手助けさえも意図的に遮った。5・18民主化運動、『金大中内乱陰謀事件』など国内の政治状況が外国に伝わる可能性を徹底して統制していたようだ」と話している。


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