アンドリュー・キム氏(資料写真)=(聯合ニュース)
アンドリュー・キム氏(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】昨年末まで米中央情報局(CIA)コリアミッションセンター長を務め北朝鮮非核化交渉のキーマンとされたアンドリュー・キム氏と米スタンフォード大アジア太平洋研究センター(APARC)のシン・ギウク所長が21日午後、韓国青瓦台(大統領府)を訪れ、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長(閣僚級)と面談した。青瓦台関係者が22日、内容への具体的な言及を控えながらも、面談があったことを認めた。双方は物別れに終わった2月末の米朝首脳会談以降の朝鮮半島情勢と、韓国政府の今後の対応や戦略などを巡り多角的、かつ率直に議論を交わしたとされる。

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 シン氏は聯合ニュースの取材に、「私とアンドリュー(キム氏)は核交渉の推進力を生かすには韓米間の連携がいつにもまして重要な時だと(鄭氏に)話した」と明らかにした。また「非核化に向け、韓国が北朝鮮を積極的に説得しなければならない」と述べた。自分たちの普段からの考えやこれまでの発言を幅広く伝えたところ、鄭氏は真剣に耳を傾け、韓国政府の立場を説明したという。

 キム氏は昨年6月にシンガポールで開かれた初の米朝首脳会談を成功に導き、CIA辞職後もポンペオ国務長官の非公式な諮問組織で活動したり国務省のビーガン北朝鮮担当特別代表と随時に意見交換したりしている。米朝非核化交渉の経緯や米朝の現在の立場を最も理解する人物の一人とされる。

 現在はAPARCの客員研究員であり、今月20日に韓国で開かれたAPARC関係の会合にも参加した。出席者によると、キム氏は韓米間で北朝鮮に対する見方に溝があるとしながら韓米連携の必要性に言及した。

 キム氏は2回目米朝首脳会談について、北朝鮮がグアムやハワイなどにある米戦略兵器をなくすべきと主張するなど、双方の非核化の概念が食い違ったために合意に至らなかったとの趣旨の発言をしたという。同会談に先立つ実務交渉でも北朝鮮は「(金正恩=キム・ジョンウン)国務委員長でなければ非核化そのものを語ることができない」などとして、肝心の非核化議論を詰めようとしなかったようだ。

 北朝鮮は韓国政府に対し、北朝鮮への制裁を緩和するよう米国への働きかけを遠回しに求めている。逆に米国は、非核化に向け北朝鮮の説得を韓国に促す。

 キム氏は「非核化に向け韓国政府が北朝鮮政府を説得せよ」と述べた。シン氏も先ごろメディアのコラムで、「韓国が今すべきことは半端な仲介でなく、完全な非核化へと北朝鮮を説得し、代わりに体制保証など北朝鮮が不安視する部分に対しては米国、中国と会って解決策を講じることであるべきだ」と指摘した。

 一方、鄭氏が2人を青瓦台に招く形で会ったことに対し、韓国政府が米国の民間シンクタンクとの関係を強化する動きとのとらえ方もある。韓国外交筋は「韓米同盟の亀裂への懸念が広がる中、韓国政府としては米国と北の双方の立場をかなり正確に把握する人物とされるキム氏の意見を聞く必要があったのだろう」と話した。


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