釈放されたアイシャ氏(中央)=(AFP=聯合ニュース)
釈放されたアイシャ氏(中央)=(AFP=聯合ニュース)
【ジャカルタ聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシア・クアラルンプール国際空港で殺害された事件で、マレーシア当局は11日、実行犯として起訴されたインドネシア籍のシティ・アイシャ氏を釈放した。 マレーシア当局が最近までアイシャ氏ら実行犯について「訓練された暗殺者」と見なす立場を守っていたにもかかわらず、突如釈放したことから、マレーシア政府が何らかの影響力を行使したとの見方が出ている。 マレーシアの高裁は昨年8月、アイシャ氏ら実行犯の女性2人と犯行に関与した北朝鮮籍の男らの間には組織的に殺害するためのよく練られた陰謀があったと推定できると指摘した。 だがマレーシア検察は11日、殺人罪で起訴したアイシャ氏の起訴を取り下げ、裁判所は無罪宣告をすることなくアイシャ氏を直ちに釈放した。 アイシャ氏とともに殺人の実行犯として逮捕・起訴されたベトナム国籍のドアン・ティ・フォン被告も近日中に釈放されるものとみられる。 2人の女性が正男氏の顔に猛毒のVXを塗ったことで、正男氏が死亡した事実は揺るがなかったため、約1年半にわたるこれまでの裁判の最大の争点は2人の女性が正男氏の殺害計画を知っていたかどうかだった。 アイシャ氏らは、正男氏の殺害ではなくテレビの撮影と聞かされていたと主張しており、仮に主張が認められても過失致死などの罪は免れないとみられていたが、それらの罪が問われることもなく釈放されることになった。 マレーシア検察と裁判所は起訴取り下げと釈放の理由を明らかにしていない。 現地では近隣諸国のインドネシアやベトナムとの関係を考慮したマレーシア政府が今回の事件を終結させることを求めたためと受け止める向きもある。 インドネシアとベトナムの両政府は2人の女性について、他国の政治問題にまきこまれた犠牲者として、マレーシア政府に圧力をかけていた。 マレーシアの刑法では故意の殺人に対して例外なく死刑が宣告され、殺人罪で有罪になれば、インドネシア・ベトナムとの摩擦は避けられない。 一方で、北朝鮮政府が殺害の背後にあることを認め、無罪を宣告すれば、北朝鮮側の反感をかう可能性もある。 北朝鮮が正男氏の遺体の引き渡しをマレーシア政府に要求し、自国にいるマレーシア人を出国させなかったことなどから、マレーシアは北朝鮮との外交関係を事実上、断絶していたが、それ以前は北朝鮮の友好国の一つだった。 昨年5月の総選挙で政権交代を実現し首相に返り咲いたマレーシアのマハティール首相は北朝鮮との外交関係を戻すとし、関係改善を推進している。 昨年4月の南北首脳会談と同年6月の米朝首脳会談などを機に朝鮮半島における和解ムードが高まり、国際社会の対北朝鮮制裁が和らぐ兆しを見せたことも今回の判断に影響を及ぼしたとみられる。 駐マレーシア・インドネシア大使はアイシャ氏が釈放された直後、記者団に対し、マレーシア政府に感謝するとの意向を明らかにした。 
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