講演を行う趙明均長官=5日、ソウル(聯合ニュース)
講演を行う趙明均長官=5日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の趙明均(チョ・ミョンギュン)統一部長官は5日、北朝鮮の金剛山観光の再開に関し、現地施設の復旧に向けた事前準備などの「段階的な接近方法」を構想していると明らかにした。 趙氏はこの日国会議員会館で行った講演で、金剛山観光自体は制裁対象ではないとしながら、本格的な再開に向けた施設復旧など事前準備のための制裁解除の必要性に言及した。 また、そのために段階的な接近方法を構想しているとして、国連北朝鮮制裁委員会員や米国、国際社会と協議する計画だと説明した。 中断している南北経済協力事業の開城工業団地の再稼働については、稼働ではなく点検・維持作業は制裁の枠内で行えるとして、米国側と協議を行う考えを示した。 統一部は米国など国際社会との協議が完了していないという理由で同団地の入居企業関係者の施設点検に向けた訪朝を保留していたが、米国に対して改めて問題提起を行うとの立場を示唆したものと分析される。 趙氏はまた、南北首脳が昨年9月に署名した平壌共同宣言で西海(黄海)経済共同特区と東海観光共同特区の設置に合意したことに触れ、「必要なら経済視察団を通じて関連モデルを検討・研究していく作業を行うこともできる」と強調した。 これに先立ち、趙氏はハノイで開催された米朝首脳会談が物別れに終わった後の4日に開かれた国家安全保障会議(NSC)で、「開城工業団地と金剛山観光の再開に関して米国との協議を準備する」と報告した。米朝首脳会談が合意に至らなかった中、北朝鮮に対する経済的インセンティブとして南北協力事業をより積極的に模索する趣旨とみられる。 一方、開城工業団地と金剛山観光の再開に関しては米国や国連制裁委員会などと「具体的な協議を本格的に始めた状況ではない」とし、講演後にも記者団に対し「開城工業団地や金剛山観光に関して施設点検をいつ推進するのか」との質問に「状況をみて行う。いつ行うかは決まっていない」と述べた。 この日の講演では、制裁の枠内で行える南北協力事業として鉄道・道路連結事業、山林協力、開城にある高麗時代の王宮遺跡「満月台」の共同発掘調査、「キョレマル(民族語)大辞典」の共同編さんなどを挙げたほか、南北離散家族の再会行事に向けて国連制裁委員会と協議を進めていると明らかにした。 また、2020年の東京五輪に向けて南北合同チームを結成し、合同練習を行って予選大会などへの参加を推進すると述べた。 趙氏は米朝首脳会談の決裂により南北間のさまざまな窓口を通じた接触と意思疎通が重要になるとした上で、南北関係を引き続き前進、発展させることが重要だとの認識を示した。
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