総会でプレゼンテーションを行った後、質問に答えるソウル市の朴元淳(パク・ウォンスン)市長=11日、鎮川(聯合ニュース)
総会でプレゼンテーションを行った後、質問に答えるソウル市の朴元淳(パク・ウォンスン)市長=11日、鎮川(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の大韓体育会(韓国オリンピック委員会)は11日に総会を開き、北朝鮮との共同開催を推進している2032年夏季五輪の韓国側の招致申請都市をソウル市に決めた。 平和と和合の五輪を実現するとのテーマは今後の誘致合戦で有利に作用するものとみられる。だが、開催まで10年以上あることに加え、予想が難しい朝鮮半島情勢のことを考慮すれば、成功させるには相当な困難が伴う見通しだ。  総会でソウル市は、五輪を開催した経験があり、交通、宿泊などすべての面で国内最高のインフラを備えているとされ高い点数を受けたと分かった。共同開催パートナーの平壌とは最も近い距離にあり、南北交流協力のための多様な事業を推進してきた点も有利に作用した。 もう一つの候補都市だった釜山市はこの日、突如ソウルとの共同開催を提案したが、状況を変えることはできなかった。 総会での決定により、ソウル市は今後、平壌と協力し、史上初の五輪共同開催に挑戦する。 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)は昨年9月に平壌で発表した共同宣言に32年五輪の共催を推進することを盛り込んだ。 ソウル市は南北共同開催から一歩進め、次世代通信5Gなどを利用し、開会式・閉会式をソウルと平壌で同時に開催するという構想も出した。 一部の競技が別の地域で分散して開催された例はあるが、夏季・冬季合わせ、五輪で複数の都市や国が共同開催された例はこれまでにない。 ソウル市関係者は「(五輪憲章など)関連規定を検討した結果、共同開催は可能で、IOC(国際オリンピック委員会)も肯定的に検討するとの意思を明らかにしたと承知している」とし、「規定上の問題はないだろう」と話した。 ただ、常に変化する朝鮮半島情勢はリスク要因として挙げられる。政治・外交的な状況により、現在の融和ムードが突然冷え込み、招致の障害になる可能性もある。 また費用もリスク要因となる。ソウル市が昨年12月に市議会に提出した「2032年ソウル・平壌五輪共同開催招致同意案」によると、2032年7月から8月中旬にソウルや平壌、また朝鮮半島全域で15日間にわたり33競技を行うには、韓国側の予算だけで3兆8570億ウォン(3770億円)必要という。このうちソウル市が1兆1571億ウォン(30%)を負担し、組織委員会が1兆5428億ウォン(40%)、中央政府が1兆1571億ウォン(30%)をそれぞれ負担する。 ここには開会式・閉会式、競技場の改修、競技運営などにかかる費用だけが含まれ、道路や鉄道などの社会資本は含まれていない。北朝鮮の劣悪なインフラ状況を考慮すれば、費用が増える可能性が高い。  ソウル市の朴元淳(パク・ウォンスン)市長は「2032年の五輪が朝鮮半島の運命を変える契機になるように中央政府と協力していく」とし、「2032年まで南北が少しずつ準備すれば、南北間の同質感を回復するだけでなく、新しい南北時代の転機を作ることになるだろう」と話した。 また「中央政府、大韓体育会などとの緊密な協力を通じ、平壌側関係者と早急に協議チャンネルを構築する」とし、「ソウル五輪は東西の冷戦構造の中の和解の五輪であった。平昌五輪が平和の試金石だったとすれば、2032年のソウル・平壌五輪は平和の終着点になるようにする」と抱負を述べた。
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