移民史博物館のウトロ特別展を訪れたカン・スンアクさん(右から2人目)、カン・ドジャさん(右端)と「ウトロを守る会」メンバーの女性2人=(聯合ニュース)
移民史博物館のウトロ特別展を訪れたカン・スンアクさん(右から2人目)、カン・ドジャさん(右端)と「ウトロを守る会」メンバーの女性2人=(聯合ニュース)
【仁川聯合ニュース】「30年間、強制立ち退きの不安にも屈することなく守ってきたウトロに安らげる場所ができたことに、とても感謝しています。ここへ至るまでの経験や支援を記録に残し、ここを差別の象徴から在日同胞と日本社会が共生する和合の里程標にするため尽力することが、残された使命だと思います」――。

 

 在日韓国・朝鮮人が多く暮らす京都府宇治市のウトロ地区で生まれ育ったカン・スンアクさん(79)、カン・ドジャさん(69)姉妹が24日、仁川の韓国移民史博物館で開催されているウトロ特別展を訪れ、聯合ニュースのインタビューに応じた。

 ウトロ地区は第2次世界大戦中に飛行場建設のために動員された朝鮮半島出身の労働者らが暮らし始めたエリア。戦後に土地を所有する企業が明け渡しを求め地裁に提訴し、最高裁が2000年に住民の立ち退きを命じた。その後、韓日の市民団体や韓国政府の支援金などで土地の一部を取得し、市営住宅の1期棟(40世帯)が17年末に完成。一部の住民が入居した。21年ごろに完成予定の2期棟(約20世帯)に残りの住民が移る予定だ。

 カンさん姉妹の訪韓には、1989年に日本で結成された市民団体「ウトロを守る会」メンバーの女性2人が同行した。4人は「ウトロは韓日両国の良識ある一般人の支援で立ち退きの危機を乗り越えたケースだ」と強調。カンさん姉妹は「ウトロの全てを見届けてきた生き証人として、ここを訪れる人々に率先してその歴史を伝えることがこれまでの支援に報いる道」とし、「韓国からの観光客だけでなく、在日同胞の若者や日本人に『差別の中で生まれた希望』の話を力の及ぶ限り伝えたい」と意欲を語った。

 市営住宅のため、入居した在日コリアンは子どもと同居している場合に限り入居権を引き継ぐことができる。4人は、住民の大半が60代半ばから70代半ばのため、ウトロ地区への記念館建設を急ぐ必要があると訴える。

 韓国では今月14日、日本による植民地時代の1919年に起きた「三・一独立運動」と大韓民国臨時政府樹立の100周年記念事業推進委員会が計104の事業を盛り込んだ総合計画を発表し、この中にウトロ地区への記念館建設が含まれた。

 移民史博物館を見て回った4人は「海外の同胞の歴史を集大成した博物館でウトロのことを伝える展示を開いてくれたことに感謝する」とし、ウトロへの記念館建設のヒントを得た思いだと語った。また、「母国の政府が三・一運動と臨時政府樹立の100周年記念事業に記念館建設を加えてくれ、さらに大きなプレゼントをもらった気がする」と喜びをあらわにした。


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