韓国銀行の李柱烈総裁(資料写真)=(聯合ニュース)
韓国銀行の李柱烈総裁(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国銀行(中央銀行)は30日、定例の金融通貨委員会を開き、政策金利を年1.50%から1.75%に引き上げた。金融の安定に重きを置き、1年ぶりとなる利上げを決定した。

 韓国銀行は政策金利を2016年6月に1.25%に引き下げ後、長らく据え置いた末に昨年11月、1.50%に引き上げた。6年5か月ぶりの利上げにより、金融政策の方向性を緩和から引き締めへと転換した。

 今回の利上げは予想通りといえる。先月の金融通貨委員会では利上げの意見が出され、李柱烈(イ・ジュヨル)総裁もたびたび利上げを示唆していた。

 ただ、今年としてみると、利上げは市場の予想より時期がずれ込んだ上、回数も少なかった。景気下振れの懸念に米中の貿易摩擦も重なり、先行き不透明感が強まったことが背景にある。米国の利上げとドル高による新興国市場の動揺、韓国国内の雇用悪化も足かせとなった。

 こうした状況は改善せず、韓国銀行は韓国の今年の成長率見通しを当初の3%から2.7%に下方修正した。

 その一方で、低金利の副作用は積み上がっている。韓国経済の大きなリスクとされる家計負債は1500兆ウォン(約152兆円)を超えた。近ごろ増加率が鈍っているとはいえ、依然として所得の増加率を上回っている。また、7月以降は不動産価格の高騰を受け、政府当局者が表立って利上げの必要性に言及するようになった。

 韓米の金利差も挙げられる。米国の利上げにより、3月に米国の金利が韓国を上回った後、金利差が広がっている。金利逆転が直ちに韓国からの資金流出を招いたわけではないが、警戒感は強い。

 金融委員会はこうした状況を踏まえ、金融の安定を優先して利上げに踏み切ったとみられる。

 だが一部では、韓国銀行が時期を逃したとの見方もある。今の韓国は景気テコ入れが必要な時で、不動産市場の潮目も変わったという。家計と企業向け貸し出しを引き締め、利払い負担を増やせば、景気減速が一気に進みかねない。

 最近の状況を考えると、追加利上げは難しいとの見方が大勢を占めている。韓国銀行の来年の判断が注目される。


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