シンポジウムに参加した日本側の関係者=6日、ソウル(聯合ニュース)
シンポジウムに参加した日本側の関係者=6日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国大法院(最高裁)が新日鉄住金に対し日本による植民地時代に強制徴用された韓国人被害者に賠償を命じる判決を下したことで、強制徴用への関心が高まるなか、強制徴用被害者の遺骨の返還の実態や遺骨の返還を巡る問題の解決策を模索する大規模な国際シンポジウムが6日、ソウルで開かれた。 シンポジウムは韓国政府系シンクタンク「東北アジア歴史財団」や南北統一問題に取り組む韓国団体「民族和解協力汎国民協議会(民和協)」、「民族問題研究所」の共催。近代史の研究者や遺骨返還のために努力する日本の市民団体関係者が参加した。 東北アジア歴史財団によると、海外で死亡した朝鮮半島出身の軍人や軍属は約2万2000人に達するが、日本による植民地支配から解放された後に、韓国政府を通じて返還された遺骨は約2000柱にとどまっている。 強制徴用によって韓国を離れ、命を失った労働者や外国に残った労働者の遺骨については実態を把握することも難しいのが実情だ。 日本政府が2015年4月に韓国に提供した実態調査資料によると、日本の339カ所の施設で朝鮮半島出身者の遺骨2798柱が保管されており、そのうち身元が確認された遺骨は167柱ある。 遺骨の返還を巡っては2004年、当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と小泉純一郎首相の合意により08年から10年にかけて423柱が故国に戻った。だがその後、政府としての遺骨返還の取り組みは中断した状態だ。 一方、民間の民和協が北朝鮮団体「民族和解協議会」、日本の市民団体とともに昨年8月、朝鮮人遺骨送還のための南北日共同推進委員会を結成した。 シンポジウムでは強制徴用被害者の遺骨返還は人権と尊厳の問題であり、植民地支配の清算のための課題であり、南北の政府と日本政府、民間団体が力を合わせて解決するべき事案であることが強調された。 東北アジア歴史財団の南相九(ナム・サング)韓日関係研究所長は「日本政府と企業が戦後、朝鮮人の遺骨の行方に関する調査や返還の責務を放棄したのは非人道的な処置」とし、「遺骨問題は植民地被害がまだ続いていることを示す事例」と指摘した。 また「被害者が具体的にどのように動員され、どのような被害を受けたのかに対する歴史的事実を明らかにすることが重要だ」と主張した。 韓国政府に対しては、問題を積極的に解決しようとする意思をみせなければならないとし、「遺骨を返還できなくても、死亡の経緯や遺骨の実態に対して遺族に説明する責任がある」と話した。 南氏は北朝鮮にも被害者が多く、遺骨がまとめられたケースがあることを考えれば、南北が同問題に共同で対応する必要があると指摘した。その上で、南北の政府と南北の民和協、日本の市民団体で構成された委員会が共通の窓口を作って日本政府と交渉し、死亡者の名簿や遺骨に関する資料を南北と日本が共有しなければならないと提案した。 日本の市民団体「戦没者遺骨を家族の元へ」連絡会の上田慶司氏は東アジアと米国の首脳が直接対話を通じ、戦争被害者の遺骨に対する共同調査や発掘、鑑識を推進するように働きかける必要があると提案した。
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