北朝鮮東部の馬息嶺スキー場=(朝鮮中央通信=聯合ニュース)
北朝鮮東部の馬息嶺スキー場=(朝鮮中央通信=聯合ニュース)
【北京聯合ニュース】米国が北朝鮮の完全な非核化が実現するまでは制裁を解除しないとの強硬な立場を取る中、北朝鮮がスポーツ観光を活性化させることで外貨稼ぎに積極的に乗り出していることが、6日までに分かった。米国主導の国連が北朝鮮に対して大規模な経済制裁を行っているが、スポーツ分野は制裁対象に当たらないためだ。

 中国・北京の消息筋や大韓貿易投資振興公社(KOTRA)によると、北朝鮮は2月の平昌冬季五輪やジャカルタなどで8月18日~9月2日に開かれるアジア大会で南北合同チームを結成して注目を集めるなど、スポーツ産業を対外イメージ改善と外貨不足の解決手段として活用している。

 中国の旅行会社も先ごろ北朝鮮の観光と現地でのスポーツ体験を組み合わせた商品を発売し、中国人の誘致に乗り出している状況だ。

 近ごろ北朝鮮が金日成(キム・イルソン)総合競技場など大型競技場の内部補修を含め、新たに建設・改装したスポーツ施設は、馬息嶺スキー場や美林乗馬クラブ、人民野外スケートリンク、紋繍プールなど約680か所に達する。

 ある消息筋は「以前の北朝鮮のスポーツ施設は代表チームのトレーニングなど専門的な用途に使われたが、最近のスポーツ施設は北朝鮮住民だけでなく外国人観光客誘致のためのものが多い」とし、「制裁を避けて外貨を稼げる良い手段と考えているようだ」と述べた。

 北朝鮮では平壌朝鮮体育大など新しい体育大学の設立を推進しており、平壌のスポーツ用品工場では「ネコヒャン(わが故郷)」「チャムメ(オオタカ)」など北朝鮮オリジナルのスポーツブランドを作っている。

 特に北朝鮮専門の旅行会社は、スキー、サーフィン、平壌市内の自転車体験、低空飛行、平壌国際マラソン、ゴルフなどスポーツと体験を組み合わせた外国人対象の旅行商品を発売している。

 2015年、米ニュージャージーの北朝鮮専門旅行会社は北朝鮮当局と共同で東部・咸鏡南道の海水浴場で行うサーフィンツアーを発売した。

 14年からは4月15日の「太陽節(故金日成=キム・イルソン=主席の生誕記念日)」を記念して毎年4月に「平壌国際マラソン大会」を開催し、金日成広場など平壌のランドマークを通過するコースを追加するなど外国人参加者と観光客の誘致拡大を図っている。

 16年には東部・元山の葛麻空港で「元山国際親善航空祝典」が初開催され、軍用機や民間航空機によるエアショーや低空飛行などが披露された。また北朝鮮のスカイダイバーが外国人観光客と共にスカイダイビングを行うイベントなど、さまざまなスポーツの商品化の可能性が持ち上がっている。

 昨年には平壌市内を上空から一望できる超軽量飛行機「クルボル(ミツバチ)」を独自開発し、関連商品を紹介した。この飛行機は高度250~300メートル上空から有名レストランの玉流館、金日成広場、万景台など主要観光地を眺めることができる。これまで禁じられてきた平壌市内での航空観光を認めたことになる。

 このように多彩なスポーツ観光に力を入れるのは、多くの外国人観光客が訪れれば交通、食事、宿泊など関連商品の売り上げも伸びる可能性が高いためだ。

 北朝鮮はこれを念頭に置いたかのように、釣り、ボート、ダイビングなどマリンスポーツを網羅した葛麻海岸観光地区の建設を進めている。

 別の消息筋は「北朝鮮を訪問して主な観光地を回るのは既に飽きられ、付加価値が小さいため、外国人観光客がさらに多くの外貨を使うスポーツ観光を通じて北朝鮮が大々的な外貨稼ぎに乗り出したものとみられる」と説明した。


Copyright 2018(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0