手を取り合いながら境界線をまたぐ南北首脳=27日、板門店(聯合ニュース)
手を取り合いながら境界線をまたぐ南北首脳=27日、板門店(聯合ニュース)
【高陽、ソウル聯合ニュース】軍事境界線がある板門店で27日に開かれた南北首脳会談は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の韓国国民5000万人に対する事実上の「顔見せ」となった。今年に入り朝鮮半島情勢に変化が起きるまで、血も涙もない暴力的な統治者という印象を持たれていた金委員長はこの日、時に率直で豪胆な振る舞いを、時には緊張した様子を、そして時には余裕とユーモアを見せた。 午前9時半ごろ、板門店の北朝鮮側施設「板門閣」から大勢の警護要員らに囲まれて姿を現したとき、金委員長は堂々とした歩き方で威厳を示そうとしているようだった。 1人で境界線に近づき、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領と向き合ったときは豪胆な様子を見せた。待っていた文大統領に笑顔で近寄ると境界線を挟んでがっちりと握手を交わし、線をまたいで韓国側に入ると再び握手してカメラの方を向いた。両首脳は最初に北朝鮮側を向いて北朝鮮の報道陣に撮影させ、次に向きを変えて韓国側報道陣の前で握手した。 普通ならここで記念撮影は終わるところだが、金委員長は突如、文大統領に境界線の北側でもう一度握手する場面を演出しようと誘い、一緒に線をまたいで再び握手した。金委員長の動作はごく自然だった。 南北の首脳が幅50センチ、高さ5センチのコンクリート製の縁石でできた「分断の線」を一緒にまたぐという象徴的で歴史的なサプライズが金委員長の提案で実現すると、南北の随行員の間から拍手が起きた。 韓国青瓦台(大統領府)の尹永燦(ユン・ヨンチャン)国民疎通首席秘書官によると、文大統領が「私はいつごろ(境界線を)越えていけるだろう」と話したのに対し、金委員長が「いま越えましょう」と誘い、文大統領の手を取って北朝鮮側に入った。事前のシナリオにはない演出だった。 また、文大統領が伝統儀仗(ぎじょう)隊による行事が略式で行われたことを挙げ「青瓦台にいらっしゃるなら、もっと良いものを見せられる」と述べると、金委員長は「大統領が招いてくださるならいつでも青瓦台に行きましょう」と快く応じ、肝の据わったところをみせた。 北朝鮮の劣悪な交通インフラに率直に言及する場面もあった。金委員長は「文大統領が(北朝鮮に)来られると心配なのは、交通が整っておらず不便をおかけするのではないかという点です」と話し、平昌冬季五輪に合わせて韓国を訪れた北朝鮮高官から伝え聞いた高速鉄道(KTX)の優秀さに触れながら、「われわれも準備して、大統領が来られたら快適に案内できるようにしたい」と語ったという。 一方、軍の儀仗隊による行事が行われている間、金委員長は緊張したような硬い表情だった。法的には戦争が終わっていない中で韓国の軍人の前に立った状況を徹底して意識しているようだった。 初めて韓国の地を踏んだことに対する緊張感を払拭しようとするかのように、ユーモアも交えた。首脳会談の冒頭で「苦労して平壌から平壌冷麺を持ってきました。遠くから持ってきた、いや遠くと言ってはだめですね。(平壌冷麺を)おいしく召し上がっていただければと思います」と話し、周囲を笑わせる一幕があった。夕食会のメニューに絡めてアドリブ発言を交え、余裕を見せようとしたようだ。
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