慰安婦問題の解決を求めて韓国の市民団体は毎週、日本大使館前で集会を開いている(資料写真)=(聯合ニュース)
慰安婦問題の解決を求めて韓国の市民団体は毎週、日本大使館前で集会を開いている(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】国連教育科学文化機関(ユネスコ)は日本時間の31日、世界史、世界文化に重要な影響を与えた資料や史料的な価値が高い記録物を保存するための「世界の記憶」(世界記憶遺産)の新規登録リストを公表した。韓国をはじめ中国や日本、台湾など8カ国・地域の民間団体が共同申請していた旧日本軍の慰安婦に関する資料は、登録可否の判断が見送られた。韓国と日本の民間団体が申請した、朝鮮王朝時代に日本に派遣された外交使節「朝鮮通信使」に関する資料と、「朝鮮王室の御宝と御冊」と「国債報償運動」に関する記録物は登録が認められた。韓国文化財庁などが伝えた。 世界記憶遺産は登録申請のあった資料をユネスコ国際諮問委員会(IAC)が審査し、ユネスコ事務局長が最終決定する。 慰安婦に関する資料は人権蹂躙(じゅうりん)を受けた被害者が勇気を振り絞って証言し、これが真相究明につながったという点で「代替不可能で唯一の資料」と評価されながらも、日本政府に登録を阻まれた。ユネスコの最大の分担金拠出国となった日本は登録阻止に総力を挙げ、IACとユネスコは関係国の利害が対立する案件について関係国から意見を聴取するという来年の制度改革案を適用する形で判断見送りを決めたとみられる。 慰安婦の資料は中国が2015年に単独で登録を申請したが、ユネスコから他の被害国との共同申請を勧告され、8カ国・地域の団体などと共に昨年、「慰安婦の声」としてあらためて登録を申請した。慰安婦被害者の証言や慰安婦制度の運営事実を証明する史料、慰安婦被害者に対する調査資料、被害者支援運動の資料など2744点からなる。 一方、登録が認められた朝鮮通信使に関する記録は、朝鮮通信使に関する外交文書や旅程の記録、文化記録など111件333点が対象。朝鮮通信使は壬辰倭乱(文禄・慶長の役)で断絶した朝鮮との交流を回復するため江戸幕府の要請を受け1607年に派遣が始まり、1811年まで12回派遣された。両国が使節団を通じ文化交流を続け平和な関係を築いたことが価値を認められた。 「朝鮮王室の御宝と御冊」は儀礼用の印章である御宝331点と、跡継ぎの指名や職位下賜の際の教書を刻んだ御冊338点。儒教国の伝統を象徴し、製作年代によって書体や装飾が異なるという特徴がある。 国債報償運動の記録物は対日債務を返済するために1907年から10年まで展開された寄付運動の過程を記した手記や報道など2472点の資料からなる。男性は酒やたばこを断ち、女性は指輪を売るなど、国家的危機に民衆が乗り出した運動についての記録がそっくり保存されていることが評価された。 韓国からの世界記憶遺産登録はこれで16件に増えた。
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