6月末の韓米首脳会談で握手を交わす文大統領(左)とトランプ米大統領(資料写真)=(聯合ニュース)
6月末の韓米首脳会談で握手を交わす文大統領(左)とトランプ米大統領(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は17日に発足から100日となるが、北朝鮮の相次ぐ挑発と米朝間の対立激化により、朝鮮半島を取り巻く状況は5月10日の政権発足時より一段と厳しくなっている。 北朝鮮の核の脅威を解消し、北朝鮮の挑発に対する抑止力を確保すると同時に、八方ふさがりの南北協力を再開しなければならないという難題を抱えた文政権の、発足当時の外交環境は劣悪だった。米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備を巡る米国と中国のあつれき、旧日本軍慰安婦問題に関する日本との合意問題、北朝鮮の核兵器開発の進展など、全てが行き詰まっていた。 それでも文政権は早期に米国を訪問して韓米首脳会談を行い、ドイツでの主要20カ国・地域(G20)首脳会議と各国との首脳会談を通じて朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾などで1年近く中断していた首脳外交を再開させ、「外交正常化」に努めた。 特に、就任後初めての首脳外交となったトランプ米大統領との会談では、韓米同盟に対する一部の懸念を払拭(ふっしょく)し、「朝鮮半島の平和統一環境醸成における韓国の主導的役割」や「南北間対話を再開しようという文大統領の熱望を支持する」という文言を声明に盛り込んで、北朝鮮問題と朝鮮半島問題の解決における韓国の主導権を確認する成果も収めた。 同時に文大統領は、7月初めの訪独時にベルリンで行った演説で、朝鮮半島に恒久的な平和体系を構築し、これを基に「朝鮮半島の新経済地図」を描くといういわゆる「ベルリン構想」を明らかにし、朝鮮半島の平和と南北共同繁栄のための道筋を示した。 民間シンクタンク、世宗研究所安保戦略研究室の洪鉉翼(ホン・ヒョンイク)研究委員は「文在寅政権は受け継いだ外交遺産自体が十分でなかったため、新たな政策を推進するのが困難にならざるを得なかった」とし、「それでも短い時間の中で首脳外交を通じて外交的にわれわれの地位を回復し、平和基調を確立するなど少なくない成果があった」と評価した。 しかし北朝鮮の相次ぐ挑発により、南北関係は回復する兆しが見えない。 北朝鮮は文政権発足から1週間も経たずに発射した中距離弾道ミサイル「火星12」を含め、これまで7回にわたってミサイルを発射した。7月4日と28日には大陸間弾道ミサイル(ICBM)級「火星14」の発射実験を行い、米国本土に対する攻撃能力を誇示した。 またベルリン構想に続く措置として、軍事境界線付近での敵対行為停止のための軍事当局者会談と離散家族問題解決のための赤十字会談を開催しようという韓国政府の提案にも、反応を示さず挑発を続けた。 北朝鮮の相次ぐICBM級ミサイルによる挑発に、国際社会は石炭および水産物の全面禁輸や労働者の新たな派遣禁止など制裁を強化し、これに北朝鮮が強く反発して米領グアム周辺への「包囲射撃」の脅威に到る両国の衝突が続いている。 「ベルリン構想」は始まる前から限界に直面したとの評価も出ている。北朝鮮が露骨に韓国を無視する状況では、政府が示した「朝鮮半島運転手論」(朝鮮半島の平和において韓国が主導的役割を担うとするもの)も掛け声倒れに終わる恐れが少なくない。さらに、韓国が状況転換に使えるカードもあまりないのが現実だ。野党をはじめ、一部では「コリア・パッシング」(米国と北朝鮮が韓国を外して協議すること)を心配する声もある。 その上、THAADの発射台4基の追加配備決定で韓中関係は再び悪化の兆しを見せており、日本とは慰安婦合意問題を巡って立場が平行線をたどっている。 韓東大の金峻亨(キム・ジュンヒョン)教授は「なにしろ状況が良くないため、文在寅政権が本来行おうとしていたことをできる環境ではなくなった。一触即発の状況が続く現在、状況管理から行わなくてはならない」と述べた。 また、「文在寅政権はどんな手段を使っても朝鮮半島の平和を守っていくという平和ビジョンを明確にし、米国、中国、北と対話しなければならない」とし、「公式の対話が難しければ水面下での交渉など、可能な限りの方法を動員して意思疎通し、必ず対話しなければならない」と提言した。
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