韓国の文在寅大統領(左)と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(イメージ)=(聯合ニュース)
韓国の文在寅大統領(左)と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(イメージ)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮のミサイル発射が間近とみられていることに対し、韓国青瓦台(大統領府)は国家安保室を中心に北朝鮮軍の動向を注視している。 北朝鮮が挑発を繰り返す中でも、韓国は南北軍事会談と、朝鮮戦争などで生き別れになった離散家族の再会に向けた南北赤十字会談を提案した。北朝鮮はこれに反応を示すどころか、ミサイル発射準備とされる動きを見せている。しかも発射が有力視されるのは、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領が互いに敵対行為を停止するきっかけにしようと呼び掛けた朝鮮戦争の休戦協定締結日にあたる7月27日だ。このタイミングで北朝鮮が新たな挑発に踏み切れば、韓国政府の対話重視の姿勢に影響を及ぼし、南北関係はもちろん、北朝鮮核問題の解決に向けた新政権のロードマップをつまずかせる恐れがある。 青瓦台関係者は26日、「北はわれわれの会談提案に返答しておらず、ミサイル発射の兆候まで見せ、もどかしい状況が続いている」としながらも、「北の返答を最大限待ってみる」と述べた。 韓国当局は、北朝鮮が27日前後にも発射する可能性のあるミサイルは、今月初めに発射されたICBM級ミサイルか中距離弾道ミサイルと予想する。いずれも朝鮮半島の安保状況に及ぼす影響は小さくない。 北朝鮮への厳しい圧力と制裁の中でも、韓国は文大統領が対話路線を維持する「新ベルリン構想」を発表した後、南北当局間の軍事会談と離散家族再会に向けた赤十字会談を提案した。こうした状況で北朝鮮が挑発の兆しを見せることに青瓦台は神経をとがらせている。対話に向けメッセージを発信し続けてきた文大統領だが、北朝鮮が新たな挑発に踏み切れば手詰まりとなる。米国と日本は対話ではなく北朝鮮への制裁拡大を主張しており、これ以上両国を説得するのは難しくなるためだ。 一方、文大統領は北朝鮮がICBM級ミサイルを発射した今月4日、「レッドライン(越えてはならない一線)」に言及している。文大統領は「韓米首脳が合意した平和的な方式の朝鮮半島非核化構想に北が応じずレッドラインを踏み越える場合、われわれがどう対応するか分からない。北が引き返せない橋を渡らないよう願う」とした。 北朝鮮がレッドラインを超えれば、対話路線は当分引っ込めるしかないという意味に読み取れる。北朝鮮を対話のテーブルに引き出すための発言とも解釈できるが、北朝鮮が新たな挑発に踏み切れば北朝鮮政策の路線変更は避けられないというのが大方の見方だ。 青瓦台は、軍事会談の期限となる27日を過ぎて北朝鮮が会談に応じる可能性も捨てていない。北朝鮮がミサイルによる追加挑発を思いとどまり対話に応じれば、朝鮮半島が一気に平和ムードへと変わる可能性もあるからだ。
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