【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)新政権で事実上の政権引き継ぎ委員会の役割を果たしてきた「国政企画諮問委員会」が19日に発表した「国政運営5カ年計画」によると、文政権は南北交流を再開して朝鮮半島で和解・協力の雰囲気をつくり、北朝鮮の核問題の進展具合に応じて開城工業団地や金剛山観光などの経済協力事業を再開することで経済統一の基盤を構築していく方針だ。 北朝鮮の核問題が厳しさを増しているが、韓国政府は朝鮮半島の平和のためには南北関係が断絶した状況は問題解決に役立たないと判断し、関係修復に乗り出す構えだ。 すでに17日、北朝鮮に南北軍事境界線付近での敵対行為の中止について話し合う軍事当局者会談と朝鮮戦争などで生き別れになった南北離散家族の再会に向けた赤十字会談を提案している。昨年2月に絶たれた南北連絡ルートの復旧も急いでいる。 一方、韓国政府は条件が整う場合は南北関係全般を包括的に議論する高官級会談を推進する方針を示した。「条件」は北朝鮮の核問題の進展を意味する。 民間交流については、対北朝鮮制裁の枠組みを損なわない範囲で認め、来年2月に開幕する平昌冬季五輪への北朝鮮の参加を支援し、「平和五輪」とする構想を明らかにした。 国政企画諮問委員会は「交流協力の再開や活性化により、朝鮮半島の状況の安定的な管理に役立たせたい」とした。 朝鮮半島を東海圏・黄海圏・非武装地帯(DMZ)の三つのベルトにまとめて開発し、北方経済圏と結びつけて北東アジアの経済協力のハブとして発展させる「朝鮮半島新経済地図構想」も打ち出した。 エネルギー・資源ベルトとなる東海圏は北朝鮮の金剛山や元山、淸津・羅先を南北が共同開発するほか、韓国の東海岸とロシアをつなげる。産業・物流・交通ベルトの黄海圏は韓国の首都圏と北朝鮮の開城工業団地、平壌、南浦、新義州を結んで開発する。 また、韓国の雪岳山や北朝鮮の金剛山、元山、白頭山を結ぶ観光ベルトを構築し、DMZは生態・平和安全保障の観光地区として開発する計画だ。 南北境界地域の発展のため、北朝鮮と協議して「統一経済特区」の指定と共同関係委員会の設置を進め、2007年の南北首脳宣言に盛り込まれた「黄海平和協力特別地帯」の設定も再推進することにした。 これらを通じ、南北を一つの市場とし、生活共同体を形成することで経済統一の基盤を築いていく方針だ。国政企画諮問委員会は「南北経済協力が活性化すれば、統一の環境が整うことはもちろん、雇用創出や経済成長率の向上も期待できる」とした。 南北基本協定の締結も5カ年計画に盛り込まれた。これまで締結した南北合意を高官級会談などによって状況に合わせて修正・補完する。 離散家族の生死確認や再会定例化、国軍捕虜・拉致被害者問題の解決なども推進する。 ただ、こうした構想は北朝鮮が協力しない場合は実現不可能だ。また、北朝鮮核問題の進展がなければ、国内外で支持を得られない。 韓国政府は対北朝鮮政策へのコンセンサスを得るための作業も進める姿勢だ。政権が交代しても対北朝鮮政策が維持できるよう、与野党と市民団体が参加する「統一国民協約」の締結を推進する方針だ。 昨年9月に北朝鮮人権法が施行されたが、理事の人選問題で本格的に稼働していない北朝鮮人権財団も早期に発足させる。 韓国入りした北朝鮮脱出住民(脱北者)への支援拡大も進める。
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