古里原発1号機の運転停止の宣言式で演説する文大統領=19日、釜山(聯合ニュース)
古里原発1号機の運転停止の宣言式で演説する文大統領=19日、釜山(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は19日、1978年に運転を開始した韓国最初の商用原発、古里原発1号機(釜山市)の運転停止の宣言式に出席し、「原発政策を全面的に再検討し、原発中心の発電政策をやめ、『脱核時代』に進む」として、「準備中の新規原発の建設計画を全面的に白紙に戻し、原発の設計寿命を延長しない」と明らかにした。 また、「寿命を延長して稼働している月城1号機は電力需給状況を踏まえ、可能な限り早期に廃炉にする」と表明。「建設中の新古里5・6号機は安全性や工事の進み具合、投入・補償費用、電力設備予備率などを総合的に考慮し、できるだけ早いうちに社会的な合意を得たい」と述べ、新古里5・6号機の建設を中断する可能性を示唆した。 文大統領は「古里1号機の稼働停止は脱核の国に向かうスタートであり、安全な韓国に向かう大転換」とし、再生可能エネルギーや液化天然ガス(LNG)発電、太陽光、海上風力などの代替エネルギー産業を積極的に育成する方針を示した。 また、「原発と共に石炭火力発電を減らし、天然ガス発電設備の稼働率を増やす」として、「石炭火力発電所の新規建設を全面中断し、老朽化した石炭火力発電所10基の閉鎖措置も任期内に終える」との計画を明らかにした。 文大統領は大統領選で脱原発を公約に掲げていた。今後、韓国政府の脱原発政策が本格化するとみられる。 文大統領は16年9月に南東部の慶州で観測開始以来、最大規模となるマグニチュード(M)5.8の地震が発生したことや福島第一原発事故に触れ、「福島原発事故は原発が安全でも安価でもエコでもないことを明確に見せた」とし、「もはや韓国が地震の安全地帯ではないことを認めなければならない」と指摘した。 その上で、「先進国は急速に原発を減らし、脱核を宣言しているが、われわれは(原発を)増やし、世界で原発が最も密集する国になった」として、「可能性は極めて低いが、もし原発事故が起きれば想像できない被害につながる」と懸念を表明した。 文大統領は「新政権は原発の安全性確保を国の存亡がかかった安全保障問題として認識し、対処する」とし、「原子力安全委員会を大統領直属の委員会に格上げし、多様性や独立性などを強化し、大統領が直接点検する」と述べた。 また、原発の安全基準や原発運営の透明性を大幅に強化するとして、「新政権では国民の安全と関連があることは、透明性を確保しながら国民に伝えることを原発政策の基本とする」と説明した。 電力需給問題や電気代の上昇、莫大(ばくだい)な原発廃炉費用を指摘する声が産業界から出ていることに関しては、「脱原発は逆らえない時代の流れで、数万年、この地で生きていく子孫のため、今から始めなければならない」と訴えた。
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