文政権は対北朝鮮政策で慎重な姿勢を取っている=(聯合ニュースTV)
文政権は対北朝鮮政策で慎重な姿勢を取っている=(聯合ニュースTV)
【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が、対北朝鮮政策で予想よりも慎重姿勢を取っているとの見方が出ている。前政権よりも北朝鮮に融和的な政権が発足したにもかかわらず、北朝鮮は弾道ミサイルを発射して核・ミサイル能力の高度化への意欲を改めて示し、なおかつ米国のトランプ政権も拙速な南北対話をけん制する様子を見せていることが原因のようだ。 韓国統一部の当局者は16日、中国・北京の北朝鮮大使館が前日に行った記者会見で南北合意の履行を文政権に促したことに対し、「合意の履行がうまくいかないのは北が核・ミサイルで挑発しているため」だと指摘した。北朝鮮核問題で進展があってこそ、南北首脳による6・15宣言(2000年)や10・4宣言(07年)といった北朝鮮との合意の履行が可能になるとの意味に受け止められる。 一部では、北朝鮮の「合意履行」要求を契機とした南北当局者による対話の可能性も取り沙汰されているが、政府内では否定的なムードが強い。 政府のある関係者は「最近の北の報道を見ると、核問題は米国と議論し、韓国とは経済協力を通じて利益だけを得ようとしているのではと疑ってしまう」と述べた。北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」が15日、核問題と関連し「傀儡(かいらい、韓国を指す)どもが朝米(米朝)間の問題に口出ししようとすることこそが、身の程を知らない出過ぎたまね」だと主張したことを念頭に置いた発言だ。 この関係者は、かつては南北間協議で非核化が扱われたことがあるとし、「北が核問題をはじめとするあらゆる懸案に対し、オープンな姿勢を取るよう期待している」と語った。 約1カ月後に迫った6・15宣言17周年の南北共同行事に対しても、政府は慎重モードだ。 かつて盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下では、民間主導で南北を行き来して記念行事が開かれ、韓国の統一部長官が出席したこともあった。 文大統領は金大中(キム・デジュン)政権や盧政権が推進した北朝鮮に融和的な政策を受け継ぐ考えを示してきただけに、南北の民間レベルで共同宣言の記念行事が開かれる可能性が指摘されてきた。 だが統一部の当局者は、共同宣言に関する記念行事について「新政権の南北関係に対する政策と北核問題、国際社会の動向などを踏まえて政府内で検討し、具体的な方向が決定されるだろう」と述べるにとどめている。北朝鮮が核・ミサイル挑発をやめるつもりがない現状では、過去のような共同行事の開催は難しい可能性があるとの立場をにじませた。 統一部のこうした消極的なムードが文大統領の考えを受けたものかどうかははっきりしない。だが、文政権が当初思い描いていたような北朝鮮との交流を気兼ねなく推し進められる状況にないことは確かだ。 北朝鮮による14日の中長距離弾道ミサイル発射を受け、国連安全保障理事会は16日(日本時間)に報道機関向けの非難声明を発表するなど、北朝鮮に対する国際社会の態度は一層厳しくなっている。 トランプ大統領も先のインタビューで、韓国と北朝鮮の対話は「特定の状況で行われるべきだ」と述べた。米国をはじめとする国際社会が核を放棄させるため北朝鮮に圧力を加えている状況で、南北が下手に対話すれば制裁ムードを乱しかねないとの懸念が発言の背景にあるようだ。 韓国政府の関係者は「南北関係を改善しながら、それによって北の非核化を引き出すのが望ましいが、簡単ではなさそうだ。実効性のある南北対話がいつ可能になるのか、現状では予想し難い」と話している。
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