文氏(右)は選挙期間中、慰安婦被害者にも会っている=(聯合ニュース)
文氏(右)は選挙期間中、慰安婦被害者にも会っている=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国で10日、文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足した。日本との関係では、旧日本軍の慰安婦問題を巡る2015年12月の韓日合意をどう扱うかに関心が注がれる。 文大統領は選挙期間中の先月28日に発表した公約で、韓日関係について「歴史問題の真の反省と実用的な友好協力の同時推進」を掲げた。具体的な目標として、「慰安婦合意の再交渉などを通じた、被害者が認め国民が同意することができる水準の合意の導き出し」を真っ先に挙げた。 また、3月にも「日本の法的な責任と公式謝罪が盛り込まれない協議は無効であり、正しい合意になるよう日本との再交渉を促す」と発言するなど、再交渉の姿勢を打ち出してきた。 こうした言動に加え、国内の強硬な対日世論を踏まえると、新政権はいかなるやり方であれ関連議論を行うとの見方が強い。釜山の日本総領事館前に設置されている慰安婦被害者を象徴する少女像の問題や日本の高官の度重なる挑発的な発言などで外交的な摩擦が続いている状況でもあり、新政権が向き合い、乗り越えていくべき課題だと指摘される。 しかし、韓日関係改善の戦略的な必要性と、国同士の合意という点から、解決に至るのは容易でないとみられる。日本政府は「再交渉はない」との立場を堅持しており、韓国政府がこれに対抗して一方的に再交渉を推進したり合意を破棄したりすれば、現実的に何らかの外交的な重荷を免れることはできない。 菅義偉官房長官は韓国大統領選当日の9日の記者会見で、韓日合意は国際社会からも高く評価された合意だとしながら「着実な実施」を求めた。再交渉に応じる考えはないことを改めて示した。 文政権としては、再交渉を求める韓国国内の強硬な世論と韓日関係改善の戦略的な必要性、国際外交での実益を最大限満たすことができる落としどころを探ることが鍵になる。 文大統領が先月中旬に選挙管理委員会に提出した公約には、「慰安婦など歴史問題に対しては原則的に対応」と記されていた。この表現に対し、政策上、身動きが取れなくなることを回避する意図との解釈も出ていた。韓日合意に関する政策に性急に取り組む場合、日本と真っ向対決の形になる恐れもあるためだ。 そのため、文政権はこの先、「再交渉」「追加交渉」「破棄」など合意を巡る議論に対しさまざまなシナリオを念頭に置きながら外交戦略を模索し、国民との意思疎通を図るとみられる。 韓東大の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授(国際関係学)は「現実的に安倍政権が合意の再交渉を受け入れる可能性は薄いため、新政権は破棄か受け入れかの分かれ道に立つ可能性が高い」とした上で、建設的な韓日関係の増進という大きな枠組みで、長いスパンで取り組む方向が望ましいと提言した。
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