【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏が殺害された事件で、マレーシア当局が遺体から猛毒の神経剤「VX」が検出されたと発表し国際社会に衝撃が走る中、韓国政府は国際会議などで北朝鮮への圧力を強める見通しだ。 韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官は27日(現地時間)、スイス・ジュネーブで開かれる国連人権理事会のハイレベル会合に出席し、基調演説を行う。北朝鮮の深刻な人権侵害に強い懸念を示し、人権状況の改善をめぐる国際社会での議論を深めるよう訴えるとみられる。 また、正男氏の毒殺事件を反人権的な犯罪として取り上げる見通しだ。 28日にはジュネーブ軍縮会議に出席し、北朝鮮の化学兵器の脅威を争点化する方針だ。 韓国政府は当初、安総基(アン・チョンギ)外交部第2次官を人権理事会に派遣する予定だったが、正男氏の殺害に化学兵器が使われたことが判明し、尹長官の出席を決めた。 尹長官はスイスに出発前、仁川国際空港で記者団に対し、「金正男氏殺害事件は国際法上禁止された化学兵器を使用した反人道的かつ反人権的な行為で、国際社会が強く糾弾している」として、「こうした点を取り上げ、(北朝鮮非難の)世論を盛り上げたい」と述べた。 会議には北朝鮮も参加し、国際社会の批判に反論するとみられるが、出席者は確認されていない。 一方、米ワシントンでは北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の韓国と米国、日本の首席代表による会合も行われる予定だ。トランプ米新政権発足後、同会合が開催されるのは初めて。 会合には韓国の金ホン均(キム・ホンギュン)外交部朝鮮半島平和交渉本部長、米国のジョセフ・ユン国務省北朝鮮担当特別代表、日本の金杉憲治・外務省アジア大洋州局長が出席する。 北朝鮮の新型中距離弾道ミサイル「北極星2」の発射実験を含めた核・ミサイル開発などに加え、正男氏殺害事件で浮上した生物・化学兵器問題についても議論する見通しだ。 韓国の外交部関係者は「北の核とミサイルによる挑発はもちろん、金正男氏毒殺事件と関連した金正恩政権の責任究明や北の生物・化学兵器の脅威について(今後も)さまざまな機会を通じて継続的に問題提起が行われる」との見通しを示した。
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