【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏が殺害された事件で、マレーシア警察が24日、猛毒の神経剤「VX」が殺害に使用されたとする暫定分析結果を発表した。殺害が北朝鮮の「国家犯罪」だった疑いが強まっている中、北朝鮮が保有する化学・生物兵器の種類に関心が集まっている。 政府系シンクタンクの韓国国防研究院(KIDA)が昨年発刊した資料によると、北朝鮮は25種に達する化学剤を保有していると推定される。 化学剤は化学的性質により人命を殺傷する化合物で、神経剤、窒息剤、血液剤、びらん剤などがある。北朝鮮はサリンやV剤などの神経剤6種、マスタードやルイサイトなどのびらん剤6種、シアン化水素などの血液剤3種、ホスゲンなどの窒息剤2種、嘔吐剤・催涙剤8種を保有しているとみられる。 V剤のうち代表的なものがVXだ。マレーシアの保健当局は正男氏の顔や目から採取したサンプルを調べた結果、神経剤のVXを検出したという。 VXは現在知られている毒ガスのうちで最も有毒な神経剤で、数分で命を奪うこともある。呼吸器や直接の摂取、目、皮膚などを通して体内に吸収され、サリンガスよりも100倍以上強い毒性を発揮する。現在は生産が全面禁止されている。 北朝鮮の金正恩政権が正男氏の暗殺にVXを使用したとすれば、絶対に失敗し得ない手段を用いたことになる。 一方、KIDAによると、北朝鮮は生物兵器用の病原体も13種保有していると推定される。7種の細菌(炭疽菌、ブルセラ菌、野兎病菌、腸チフス菌など)と1種のリケッチア(発疹チフス)、3種のウイルス(天然痘、黄熱、流行性出血熱)、2種の毒素(ボツリヌス、T2トキシン)だ。 KIDAと韓国軍当局は「このうち兵器化が進められると推定されるのは炭疽菌、天然痘、ペスト、コレラ、ボツリヌスの5種」とし、「特に炭疽菌は致死率が高く、兵器化が最も有力視される細菌」だと説明している。 北朝鮮は平壌の国家科学院内の第1生物研究所、平城の微生物研究所、平安北道・枇ヒョンの細菌武器研究所、平安北道・定州の25号工場、平安北道・宣川の細菌研究所など、生物兵器の研究や培養・生産施設を17カ所運営中とされる。 韓国軍は、北朝鮮がさまざまな種類の生物兵器を独自に培養・生産する能力を備えており、2500~5000トンの化学兵器を貯蔵しているとみている。
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