1月9日、日本に帰国した長嶺駐韓大使(資料写真)=(聯合ニュース)
1月9日、日本に帰国した長嶺駐韓大使(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の市民団体が釜山の日本総領事館前に設置した旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像をめぐり、日本政府が長嶺安政・駐韓大使を一時帰国させるなどの対抗措置を発表してから1カ月がたった。発表の3日後の1月9日に長嶺氏は帰国した。長嶺氏は今もソウルに帰任しておらず、韓日間のあつれきは解消の兆しが見えない。 2012年に当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領が独島を訪問した際と2005年に日本の独島領有権主張をめぐって対立が激化した際にも、日本政府は駐韓大使を帰国させたが、いずれも12日後に帰任させた。 日本の政府やメディアは当初、長嶺氏の一時帰国は長くはならないと予測していた。安倍晋三首相が海外歴訪を終えて帰国する先月17日か翌日ごろ帰任させるとの見方が有力だった。 しかし、韓日間の溝はさらに深まった。韓国の京畿道議会の団体が少女像を独島に設置する計画を明らかにし、これに対し岸田文雄外相は「竹島(独島)は日本固有の領土」と、領有権を主張した。また、韓国人が長崎県対馬市の寺から盗んで韓国に持ち込んだ仏像「観世音菩薩坐像」(同県指定有形文化財)について、韓国の地裁が元の所有主と推定される韓国の浮石寺(忠清南道瑞山市)に引き渡すよう韓国政府に命じたことに対しても、日本は強く反発している。 釜山の少女像をめぐっては、日本政府は撤去に向けた動きがなければ、長嶺氏を帰任させない方針を示している。だが、韓国の市民団体と自治体は少女像を守るため、防犯カメラや安全フェンスの設置などを進めているほか、管轄の釜山市東区の区長は「少女像は撤去しない」と発言しており、双方の隔たりは大きい。 韓日外交も膠着(こうちゃく)状態に陥っており、解消のきっかけが見えない。韓国は朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾により、外交をコントロールする機能が働いていない。朴大統領への反感が強まっている国内世論を踏まえると、政府が積極的に解決策を打ち出すのも難しい。一方、日本では韓国批判を安倍政権の支持率アップに活用する傾向がある。 この先の両国関係も悪材料のほうが目につく。今月22日に島根県が「竹島の日」の行事を予定しており、3月には独島を日本領土と明記した日本の学習指導要領が告示される。 また、韓日中3カ国の首脳会談は、韓日間のあつれきに加え中国が消極的な姿勢のため保留となっている。米国のトランプ新政権は前オバマ政権のように仲裁に乗り出そうとはしない。 ただ、今月16~17日にドイツで開かれる20カ国・地域(G20)外相会議と17~19日のミュンヘン安全保障会議への出席を機に韓日の外相が会談する場合、関係改善の糸口をつかめるとの期待も慎重ながら出始めている。
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