平昌五輪のマスコット=(聯合ニュース)
平昌五輪のマスコット=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】冷戦の真っただ中だった1988年、韓国はソウル五輪を東西陣営がそろって参加する「平和の祭典」として開催した。閉会後、当時の国際オリンピック委員会(IOC)委員長は「ソウル大会は五輪の理念を実現した、史上最も立派な、最も世界的な大会だった」と称賛を惜しまなかった。 それからおよそ30年。韓国は約1年後に迫った2018年平昌冬季五輪・パラリンピックを「平和の五輪」「統一の五輪」にしたいと願っている。 その鍵となるのが、ソウル大会で実現し得なかった北朝鮮の参加だ。世界唯一の分断国である韓国、それも北朝鮮と接する江原道の平昌を中心に開催される冬季五輪に北朝鮮選手が出場すれば、それだけでも非常に大きな象徴的意味を持つ。 また、平昌五輪を皮切りに、東京五輪(20年)、北京冬季五輪(22年)が相次いで開かれ、韓中日が大会協力に向けて動いていることから、平昌大会は3カ国の緊張状態を和らげる出発点になるとも期待されている。◇北朝鮮の参加は実現するか 平昌は朝鮮戦争で激しい戦闘が繰り広げられた戦場の一つだ。ここで命を落とした戦死者の遺骨発掘作業が今なお続けられている。 戦争から60年余りがたち、平昌は世界レベルの「アルペンシア・スキージャンプ・センター」や「アルペンシア・バイアスロン・センター」などを備えたウインタースポーツの祭典場へと変貌を遂げた。北朝鮮の参加が実現すれば、南北の戦いの場だった平昌が、互いにスポーツで競い合い、ともに汗を流す舞台に変わる。 北朝鮮は2014年に韓国・仁川で開催されたアジア大会にも選手を出場させており、北朝鮮の参加は非現実的なことではない。だが、南北関係が極度に冷え込んでいる現状を踏まえると、乗り越えるべき難題は多い。 一部では、北朝鮮との緊張状態を緩和するための政策を韓国政府に求める声も強まっている。江陵原州大の呉慶植(オ・ギョンシク)教授(法学科)は23日、「北に対し、持続的かつ一貫した緩和政策が必要だ」とし、北朝鮮の参加を促すため南北がスポーツ交流議定書を交わすべきだと提案した。 韓国次期大統領選が本来予定された今年12月より前倒しになる公算が大きいなか、次期政権に五輪の南北分散開催の推進を期待する向きもある。 慶南大の金根植(キム・グンシク)教授(政治外交学科)は「平昌に近い元山地域は北の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が馬息嶺スキー場や国際空港を建設するなど、大きな関心を寄せているエリア。次期政権が元山との五輪分散開催を決断することで、南北関係を良い方向に向かわせることも一案だ」と述べた。◇「アジアの時代」開く五輪、韓中日の協力広げる契機に 韓国は現在、中国とは米最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備問題、日本とは旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像の問題などをめぐりあつれきを抱えている。中国と日本の間にも、領土問題など大小の外交摩擦がある。 こうしたなか、かつて冷戦時代に米国と中国が「ピンポン(卓球)外交」で国交正常化への道を開いたように、平昌五輪が韓国と中国、日本の関係改善の呼び水になるとの期待は高い。 特に、平昌から東京、北京と続く北東アジアでの五輪連続開催は、韓中日の3カ国はもちろん世界史的にも大きな意味を持つ。IOCのバッハ会長は「今はアジアの時代。3回の五輪が同じ大陸、しかも地理的に近い国で相次いで開かれるのは五輪史上初めてのこと」と、その意義を強調した。 平昌、ひいては北東アジアを世界平和の中心に据えるという構想は、すでに第一歩を踏み出した。昨年9月に平昌で開かれた韓中日のスポーツ行政担当相会談で、3カ国は「平昌宣言」を採択し、「国家間のスポーツ交流活動を通じた相互理解と信頼の促進・強化を基盤に、東アジアの平和・共存に向け努力する」と表明。3大会の成功に向けて努力することを約束した。 韓国の黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行首相も先ごろ、「平昌五輪を機に北東アジア地域の平和が一層強固になり、3カ国間の協力も拡大するよう期待する」と述べた。 平昌五輪を機に「平和の夢」が実現するかどうか、世界が注目している。
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