鳥インフルエンザに感染した鶏を殺処分する関係者=(聯合ニュース)
鳥インフルエンザに感染した鶏を殺処分する関係者=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国で甚大な被害が発生した高病原性鳥インフルエンザ(AI)の流行をきっかけに、韓国の防疫システム全般について改善が必要だとの意見が出ている。 韓国農林畜産食品部の「AI防疫制度改善支援タスクフォース(TF)」は19日、日本の現場を訪問調査した結果を発表した。その結果、韓国で今季に殺処分された家禽(かきん)類の数は、同じ時期に鳥インフルエンザが流行した日本よりも約28倍多いことが分かった。 同部は毎年鳥インフルエンザの被害が繰り返されているという指摘に伴い、防疫体制を根本的に改善するため昨年12月にTFを設置し、同月25日から30日まで日本の農林水産省職員らと鳥インフルエンザの発生地である青森県の養鶏協会などを調査のため訪問した。農村振興庁、農林畜産検疫本部、大韓養鶏協会、農村経済研究院などの関係者も参加した。 ◇飼育密度が低い日本 殺処分数は韓国が28倍 調査団によると、日本では昨年11月末に青森県の農家で今季初めて鳥インフルエンザの感染が確認されてから現在まで、全国47都道府県のうち6地域で計8件の感染があった。ただ、今月15日までに殺処分された家禽類は産卵鶏100万羽を含む計114万羽にとどまった。 昨年11月中旬、韓国南西部の全羅南道・海南と中部・忠清北道の陰城で初めて鳥インフルエンザの疑いがあるとの通報を受けてから2カ月余りで過去最悪の3203万羽が殺処分された韓国とは大きな差がある。 その基本的な原因は、家禽類の飼育環境の違いにあると調査団は分析する。 日本では鶏の飼育数が韓国より2倍以上多いが、韓国と違い中小規模の養鶏場が密集している地域がほとんどないとされる。それだけ集団飼育が少なく、飼育密度が低いことを意味する。 青森県の鳥インフルエンザ発生農家の場合、10キロ以内にある農家は7軒だけだが、南西部の全羅北道・金堤では10キロ以内に410軒の農家がひしめく。 「鳥インフルエンザの火付け役」とされるアイガモの飼育数が日本では50万羽程度であることも、韓国(877万羽)と違う部分だ。 アイガモはウイルスに感染しても症状がすぐに現れず、排せつ物などを通してウイルスが大量に排出される。 このような産業構造の違いにより、韓国よりも日本の方が鳥インフルエンザの防疫に有利な面があるというのが調査団の説明だ。 ◇日本は防疫関連人員が韓国の2倍 飼育環境とは別に、防疫システムについても基本的な人的規模や対応プロセスなどで韓国と日本では違いがあることが分かった。 日本は農林水産省消費・安全局の動物防疫課(45人)、動物検疫所(416人)、動物衛生研究所(369人)、動物医薬品検査所(79人)など政府の防疫担当人員が900人を上回る。 韓国は農食品部畜産局内の防疫総括課と防疫管理課(22人)、検疫本部(424人)の446人にとどまる。 地方自治体の防疫担当者の数も日本は都道府県あたり44人で、獣医も計約2000人いる。韓国(市・道あたり22.5人)の約2倍に達する数字だ。韓国の一部地方自治体には防疫業務を取り仕切る獣医が一人もいないところもある。 鳥インフルエンザ発生時の対応にも違いがある。 日本は首相を本部長に、内閣に鳥インフルエンザ対応本部、農林水産省には防疫対応本部、発生都道府県別にも対策本部を設置し、運営する。 殺処分についての政策は、24時間以内の殺処分、72時間以内の埋却を原則として事前に人員を確保しておき、一定規模を超えると自衛隊を動員すると定められている。実際に日本では昨年11月、鳥インフルエンザ発生の2時間後に安倍晋三首相が危機管理センターを設置し、陣頭指揮を執った。 一方、韓国では農家が最初に通報して26日が過ぎてからようやく政府レベルでの鳥インフルエンザ関係閣僚会議が開かれた。 その上、韓国は関心、注意、警戒、深刻の4段階の危機警報ごとに違う対応を取っており、発生から約1カ月が経過してようやく「深刻」レベルに引き上げられ、対応の遅れを批判された。 このほかにも、異常な症状など疾病の発見時のみ通報するようになっている韓国とは違い、日本は鳥インフルエンザの予防のため毎月農家が家禽類の死亡率を報告することになっている。ワクチンは韓日とも指針上では使用できることになっているが、実際には日本のみがワクチンを備蓄(H5N1型、410万羽分)している。 ただし日本ではワクチンが逆に鳥インフルエンザを拡散させる可能性がある点を考慮し、現状のところ使用を考えていないとされる。 農食品部は今回の訪問調査の結果をもとに、鳥インフルエンザの防疫体制を改善するための対策を立てる計画だ。
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