空港で出迎えた人たちに手を振って応える潘基文氏=12日、仁川(聯合ニュース)
空港で出迎えた人たちに手を振って応える潘基文氏=12日、仁川(聯合ニュース)
【ソウル、仁川聯合ニュース】今年行われる韓国大統領選への出馬に意欲を見せる潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長が、12日午後、仁川国際空港から帰国した。 2期10年務めた国連事務総長を昨年末に退任した潘氏は、帰国前に事実上の大統領選出馬意向を示しており、今後、次期大統領選候補としての活動を本格化させる見通しだ。 帰国直後の記者会見で潘氏は「国連事務総長で得たさまざまな経験や見識に基づき、若者により明るい未来のための道を示す役割を果たす」と述べ、「私はこの身を燃やす覚悟ができているとはっきり申し上げてきたし、その気持ちは変わらない」と大統領選出馬を強く示唆した。 さらに「覇権主義と既得権はこれ以上認められない」と述べ、「社会の指導者には責任がある。指導者はみな責任感を持たなければならない。人を思いやる気持ち、犠牲の精神が必要だ」と強調した。 潘氏は「人をけなして手段を選ばずに権力を奪い取ろうとするのが権力志向なら、私は権力志向ではない」と語り、「ひとえに国民と国家のために身を燃やす意思があるか、その意思があるなら私はいくらでもみなさんと共にする」と訴えた。 大統領選をめぐる世論調査で支持率の最も高い最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表とほぼ互角の人気を誇る潘氏の帰国により、大統領選の構図にどのような変化が生じるか注目される。 潘氏はしばらくの間、政党との接触は行わないと伝えられているが、潘氏の帰国は与野党を問わず政党間の合従連衡など、政界改編の引き金になるのではないかとの見方が大勢だ。  潘氏は政権交代ではなく「政治交代」をキーワードに既成政治に対する不信感を表明し、権力への強い思いをあらわにした。 「戦争で国と社会がさらに分裂するのは民族の災難だ。我々はこれ以上時間の無駄使いをしている場合ではない。政権交代ではなく、政治交代が成し遂げられるべき時だ」と決意を新たにした。 また「残念ながら政界は市民の気持ちを顧みずに自分の利害関係のみを計算している。本当に嘆かわしいことだ」と語った。 潘氏は朴槿恵(パク・クネ)大統領の退陣を求める大規模集会を意識してか「歴史は2016年を記憶するだろう。広場に集まった市民の心が作り出した奇跡、良い国を作るために一つになったことを記憶するだろう」と評し、「広場にあふれた国民の希望を決して忘れてはいけない」と述べた。 今後の活動については「帰国後、国民のみなさんからさまざまな意見を聞く機会を持ちたいとずっと申し上げてきた。明日からその機会を持ちたい」と述べ、「謙虚な心で私情をはさまず決定したい。決定するまでに長い時間はかからないだろう」と説明した。 一方、潘氏が2005年と07年に実業家から計23万ドル(約2700万円)の裏金を受け取ったとする報道や野党の疑惑提起については「50年以上公職者として韓国と国連において国家と民族、世界人類のために働いてきた中で、良心がとがめるようなやましい点はないともう一度はっきりと申し上げる」と強く否定した。 潘氏は帰国後、空港鉄道でソウル駅に移動し、駅の待合室で市民と交流した後に乗用車で自宅に向かった。 13日午前には国立ソウル顕忠院(国立墓地)を訪れ、歴代の元大統領の墓参りをした後、住民センターを訪れて住民登録を行う予定だ。 14日には故郷の忠清北道・陰城に戻って先祖の墓参りをし、同道・忠州に住む母親を訪ねた後は韓国全土を巡り、市民の声に耳を傾ける活動を本格化させる予定だ。 潘氏は当分の間「国民大統合」のための活動に力を入れ、今月末までに大統領選出馬を正式に発表して政界との接触にも乗り出すとの見方が支配的だ。
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