国定歴史教科書=28日、ソウル(聯合ニュース)
国定歴史教科書=28日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国教育部が28日、専用ウェブサイトで国定歴史教科書の見本を電子書籍の形で公開した。同教科書は現代史の部分で韓国の建国過程の正当性を強調した。最も大きな論争を巻き起こしていた韓国の建国時期に関しては、1948年8月15日を従来の「大韓民国政府樹立」ではなく、「大韓民国樹立」とした。北朝鮮については、3代にわたる世襲体制や核開発などの実態、韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈事件などを辛らつに批判している。北朝鮮の体制批判に関する内容は記述量でも現行教科書の倍以上に増え、記述も具体的になっている。◇大韓民国政府樹立を大韓民国樹立に 合計7単元で構成される高校の韓国史で現代史は最後の「大韓民国の発展と現代世界の変化」で扱われる。  国定歴史教科書は「大韓民国樹立」という小テーマで、李承晩(イ・スンマン)氏が国会で大統領に選出され、抗日武装独立闘争に献身し、後に政治家となった李範ソク(イ・ボムソク)氏を首相とする内閣が誕生したと紹介。1948年8月15日に大韓民国政府が構成されたことにより、大韓民国臨時政府の伝統を継承した大韓民国が樹立されたと記述した。 現行の教科書には「李承晩大統領は8月15日に大韓民国政府の樹立を国内外に宣言した」などと記されている。 樹立までの過程についても、違いがある。現行の教科書では独立運動家出身の政治家が南北統一政府の樹立を要求して総選挙に参加しなかったことや、韓国の各地で、韓国での単独選挙に反対する左派を中心とした運動が起きたことを記し、樹立には混乱が伴ったことが紹介されているが、国定教科書には書かれていない。 特に1948年4月3日に韓国単独選挙に反対し、南北統一政府の樹立を主張する武装蜂起が済州島で起きたことについて、現行の教科書では、武装蜂起が警察と軍隊により鎮圧され、2万5000人以上の住民が犠牲となったなどと詳細に記述しているが、国定教科書は同事件について「多くの罪のない済州島住民が犠牲になった」と記すにとどめるなど、詳細な記述を行わなかった。◇朝鮮戦争は北による違法侵略と明確に記述  朝鮮戦争が起きた当時について、現行の教科書は「1950年6月25日に北朝鮮軍が38度線を越えて奇襲的に南に侵攻した。3日でソウルが陥落し、この過程で多くの避難民が出た」などと記している。一方、国定教科書は北朝鮮の侵攻が違法であることを強調し「違法かつ奇襲的に南に侵攻した」としている。「国連は直ちに北朝鮮を侵略者と規定」などの表現も新たに加わった。◇北朝鮮の体制批判強化 国定教科書は「北朝鮮の3代世襲独裁体制と南北関係」という単元で、故金日成(キム・イルソン)主席による独裁体制の構築、3代世襲体制の形成、北朝鮮脱出住民(脱北者)と人権・離散家族問題、核問題と韓国への挑発、平和統一に向けた努力の五つのテーマを扱った。記述量は現行に比べ倍以上増えている。 北朝鮮の人権問題について現行の教科書は「報道や宗教活動を制限し、旅行や居住以前の自由の抑圧、政治犯収容所の運営、公開処刑などの人権問題も提起されている」などと短く言及しているが、国定教科書では北朝鮮の人権弾圧、反人道的な統治、国連の北朝鮮人権決議案採択などを詳しく紹介した。  北朝鮮の核開発については、核不拡散条約(NPT)からの脱退、寧辺の核施設稼動、米朝核枠組み合意の破棄、弾道ミサイル開発を説明し、国際社会から制裁を受けていることなどを詳しく記述した。 また、2008年7月11日に金剛山観光に訪れていた韓国人観光客が北朝鮮兵に射殺された事件のほか、「天安」撃沈事件については、北朝鮮による魚雷攻撃を受け、40人が死亡、6人が行方不明と記した。また2010年の延坪島砲撃事件についても詳細に記述した。
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