公開された国定教科書の見本=28日、ソウル(聯合ニュース)
公開された国定教科書の見本=28日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国教育部が28日に見本を公開した国定歴史教科書では旧日本軍の慰安婦問題や独島問題に対する記述が全般的に強化されている。独島問題を詳細に記述したのは、日本が昨年、中学校の教科書検定で独島の領有権主張を強めたことに対抗したものと受け止められる。 ◇「慰安婦、持続的な性暴力で体と心に深い傷」と記述 国定教科書では日本による植民地支配下で強制動員された慰安婦に対する記述が増えたことが特徴だ。 「戦時体制の下で日本が行った抑圧的な政策について徴用、徴兵、慰安婦強制動員などの事例を調査し把握する」という内容は学習学年(中学校)に応じて日本の公権力が関与する形で女性が強制的に連れて行かれた事例が記載されている。 中学校の歴史2の教科書では慰安婦被害者の写真を掲載し、「被害者は本人の意思に反し強制的に動員され、慰安所では監視と劣悪な環境の中で持続的に性暴力を受け体と心に深い傷を負った」と記述している。 特に、慰安婦問題については以前の検定教科書で国際社会の解決のための努力があまり多く記述されていないという指摘があったことを受け、国定教科書ではこうした部分に対する説明を増やした。 高校の韓国史の教科書でもこれまで大部分の検定教科書が取り上げなかった、慰安婦の強制性を認めた河野談話(1993年)や植民地支配と侵略を反省する戦後50年の村山談話(95年)について言及しているほか、国際社会の努力を紹介している。 同部は「動員の強制性、人権蹂躙(じゅうりん)、国際社会の認識などを忠実に記述し、掘り下げて学習するため中学校の歴史教科書では個別にテーマを設け編成した」と説明した。 ◇「独島、国際司法裁判の対象になり得ない」 独島についての記述も検定教科書より増えた。同部は「独島領有権を明らかにするため、韓国だけでなく日本の史料を提示して生徒がさまざまな根拠に触れられるようにし、特に、独島が三国時代から歴史に編入されていたということを証明する多様な史料を掲載することで、日本の主張に根拠がないことを明らかにした」と説明した。 中学校の歴史2の教科書では「日本の独島編入の違法性と間島協約(日清協約)の問題点は何か」というこれまでより大きな単位で編成することで、日本の独島の違法編入過程などを示し領有権の正当性を強調した。 高校教科書の現代史の部分では「独島は韓国が領有権を断固として行使している場所で、国際司法裁判(ICJ)の対象になり得ない歴史的・地理的・国際法的に明白な韓国固有の領土」と明記した。 また、世界で日本海と混在して使われている東海の表記に関連して、これまでの検定教科書でほとんど記述されなかった「東海」表記についての歴史的背景を提示し正当性を強調した上で、国際社会で東海表記を増やすための政府の努力を紹介している。 このような慰安婦問題や独島、東海などをめぐる記述の強化は日本政府が近年、教科書検定で独島の領有権主張を強化し、一部の教科書で慰安婦関連の記述が減るなど日本の教科書を通じた近現代史の歪曲(わいきょく)に対抗する意味合いがあるとみられる。 同部もこの日の記者会見で「周辺国の歴史歪曲に対応できる力を養いたいと考えている」と説明した。
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