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国定歴史教科書公開 保守派寄りの内容めぐり論争再燃必至=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国の教育部は28日、政府世宗庁舎で検定制から国定に変える中学校の歴史1・2、高校の韓国史教科書計3種の見本を公開した。 李俊植(イ・ジュンシク)社会副首相兼教育部長官は「正しい歴史教科書は学生が特定の理念に偏ることなく、バランスの取れた歴史観や正しい国家観を持てるよう心血を注いでつくった」と述べた。これまで公表していなかった執筆者31人も公開した。 見本では韓国の建国時期と関連し、1948年8月15日を従来の「大韓民国政府樹立」ではなく、「大韓民国樹立」とした。日本による植民地時代だった1919年の臨時政府を排除したとの批判が出そうだ。 「朝鮮民主主義人民共和国樹立」との表現は「北韓政権樹立」に修正した。また、朝鮮戦争が北朝鮮の不法侵略によって起きたことを明確に記述。北朝鮮の軍事挑発や人権問題、核開発などに関する記述も項目別に構成し、大幅に増やした。 歴代政権と関連した記述は、産業化時代の経済発展に対する肯定的な内容が増加した。 日本との領土問題などに関しては、現行の教科書に「東海」の表記に関する内容がないとの指摘を受け、歴史資料と共に東海表記の正当性について記述。独島が韓国の領土であることを示す具体的な史料も盛り込んだ。 教育部は韓国の正当性を強調し、歴代政権の功罪をバランス良く記述するとの編纂(へんさん)基準に基づき、教科書を執筆したと説明した。 だが「大韓民国樹立」との表現や、故朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領時代に始まった経済開発計画、セマウル運動など産業化時代の肯定的な側面を強調する記述は保守陣営が主張した内容をそのまま反映したもので、今後、激しい論争が起こると予想される。 教育部は専用ウェブサイトで国定歴史教科書の見本を電子書籍の形で来月23日まで公開し、意見の聞き取りを行う。最終本は来年1月末までにまとめる予定だ。 また、来月23日までに国定教科書を実際に教育現場で使うかどうかを決め、発表する方針だ。 教育部は当初、来年3月の新学期から全国の中高校で国定教科書の使用を義務付ける方針だったが、朴槿恵(パク・クネ)大統領の親友、崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入事件で国定教科書への反対世論がさらに強まったことで、教科書の使用義務化を再検討する可能性を示唆している。 ただ、李副首相は「現段階で国定歴史教科書の撤回は考えていない」と述べた上で、検定と国定の併用やテスト学校での使用、使用時期の延期などについても決まっていないと説明した。 歴史教科書の国定化は現行の教科書を「左派的」として、朴政権が重要課題の一つとして進めてきたが、市民団体や野党などは検定廃止などを強引に進めたやり方に激しく反発し、密室での教科書づくりだと批判している。