【ソウル聯合ニュース】韓国防衛事業庁の張明鎮(チャン・ミョンジン)庁長が先ごろ米ワシントンで開かれた会議で、トランプ次期米政権から在韓米軍駐留経費負担(思いやり予算)の増額を求められた場合は受け入れざるを得ないと発言したことが波紋を呼んでいる。国の防衛事業の責任者が公の場でそんなあきれた発言をしたとは信じ難いが、事実ならば国益を大きく損なう「妄言」だ。 トランプ氏は選挙中、在韓米軍の駐留経費について韓国の負担増を求める発言を繰り返した。米国に数十億ドル(10億ドル=約1127億円)の損害が出ているとして、韓国が負担を増やさなければ米軍の撤退を検討する考えがあることも示唆した。そのため、トランプ政権が発足すれば、米国は在韓米軍の駐留や戦略資産の運用などに関する負担を韓国に押し付けようとしてくるだろう。 韓国政府は駐留経費について「適正水準を分担している」との立場だ。これに関する今後の交渉でも、在韓米軍の朝鮮半島防衛における寄与度、韓国の財政的な負担能力、安全保障の状況などを総合的に踏まえ、合理的な水準の負担額を導き出していく方針だ。 米国を相手に国益を守るため、政府の立場を筋道立てて説明し、理解を求めるのは防衛事業庁長の大事な仕事だ。張庁長がそれを忘れ、米国の要求に応えるかのような発言をしたとすれば、同庁トップとしての資質を疑わざるを得ない。 国防部は張庁長の発言を「不適切」と批判し、張氏自身も誤解を招く発言だったと遺憾の意を示したが、それで済むことではない。国益に関する事案だけに、政府は発言の経緯を調査して相応の責任を問うべきだ。国政のトップに立つ朴槿恵(パク・クネ)大統領が親友の崔順実(チェ・スンシル)被告に絡む疑惑でリーダーシップを失っている状況だが、内閣の規律までが緩んではならない。こういう時こそ、政府官庁を率いる官僚たちはしっかり責任感を持って業務に取り組んでほしい。
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