トラップ氏が当選したことでTHAAD韓国配備問題に変動が起きる可能性が出てきた=(聯合ニュース)
トラップ氏が当選したことでTHAAD韓国配備問題に変動が起きる可能性が出てきた=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】米大統領選で共和党候補のドナルド・トランプ氏が当選したことで、朝鮮半島における米国の軍事政策に大きな変化が予想される。とりわけ、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備や韓国に対する拡大抑止政策などに変動が起きる可能性に注目が集まっている。 トランプ氏はこれまで、韓国など同盟国に米軍駐留経費の費用負担増を強く求め、在韓米軍の撤退をほのめかす発言もしてきただけに、韓米の軍事関係は変化しそうだ。 軍事専門家である韓国・国民大政治大学院のパク・フィラク教授は9日、トランプ政権は対外政策全般を見直すはずだとし、「韓米同盟が弱体化する恐れもある」と懸念を示した。 北朝鮮の核・ミサイル能力が向上し続けるなか、最も重要視される米国の拡大抑止の「実行力」にどのような変化が訪れるかも関心の的だ。 米国は、朝鮮半島有事の際に「核の傘」や従来型戦力、ミサイル防衛(MD)システムなどを中核とする拡大抑止を韓国に提供すると公約している。だが、有事の際にこうした公約を行動に移す実行力に対する懐疑心は韓国に根強い。 韓国は戦略爆撃機B1Bやイージス駆逐艦、原子力潜水艦などの米戦略兵器を朝鮮半島に常時配備するといった、実行力を保証する措置を求めているが、米国は首を縦に振らない。 米国の国益優先の姿勢をアピールし、現在の同盟の枠組みを根本的に変えると公言してきたトランプ氏が次期大統領に当選したことで、戦略兵器の常時配備などは一段と現実味が薄れたと専門家らは指摘する。 米国の拡大抑止の実行力が弱まるほど、韓国国内で独自の核武装を求める声が強まっていくことも考えられる。トランプ氏は3月に行った米紙ニューヨーク・タイムズとのインタビューで、大統領就任時の外交政策方向を説明しながら、韓国と日本の核保有を容認する姿勢を示した。 だがパク教授は、トランプ氏であっても「世界的な核不拡散体制に逆らうことはできないだろう」と指摘する。韓国で核武装論が強まれば、トランプ氏が「朝鮮半島非核化」という米国の立場を掲げて反対を表明する可能性があるということだ。 米国が来年上半期を目指すTHAADの韓国配備も、予定通り進まない恐れもある。韓米間の合意を白紙化することはないとみられるものの、配備が遅れたり、米国が韓国に配備の費用分担を新たに要求したりすることは考えられる。 一部の専門家は、韓国国内でTHAAD配備反対世論が再び強まれば、「ストレートな性格」のトランプ氏が「なぜ韓国が反対することをやる必要があるのか」との論理で再検討に乗り出す可能性もあると指摘している。 韓国国防研究院(KIDA)のある専門家は「トランプ政権は朝鮮半島の軍事政策も徹底して米国の国益に合致するかどうかを計算し、新たに樹立する可能性が高い」と分析している。
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