北朝鮮政権を非難するビラを散布する脱北者=(聯合ニュース)
北朝鮮政権を非難するビラを散布する脱北者=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮脱出住民(脱北者)は2000年代に入り急激に増え、韓国で暮らす脱北者も増加した。韓国入りする北朝鮮住民はここ数年減少していたが、今年は増加に転じ、11月中旬に韓国の脱北者は3万人を越える見通しだ。1990年代は食糧難を逃れるため北朝鮮を脱出するケースがほとんどだったが、最近はより良い暮らしを求めて脱北する「移住型」が増えており、北朝鮮の医大を卒業した医師もいる。 韓国統一部が9日までに明らかにした資料によると、今年1月から9月までに韓国に入国した脱北者は1036人で、前年同期比21%増加した。 2011年末に金正恩(キム・ジョンウン)政権が誕生してから、脱北者の数が明確に増えたのは今年が初めて。 韓国入りした脱北者は09年に2914人まで増えたが、北朝鮮当局による国境警備の強化や処罰の厳格化などの影響で、11年に2706人と減少に転じ、13年が1514人、昨年は1276人と減っている。 今年9月末現在、韓国に居住している脱北者は約2万9830人で、最近の増加ペースを踏まえると11月中旬には3万人を突破するとみられる。 韓国行きを求める脱北者が年間3000人に迫った2000年代末や、2010年代の初めに比べると、脱北者の類型は完全に変化した。経済的な理由で脱北する事例は減り、政治体制への不満や子供の教育など、経済的な理由以外で脱北する事例が増加している。 脱北者の定着を支援する統一部傘下施設「ハナ院」での教育を終えた脱北者を対象に統一部が実施した調査によると、脱北した理由として「経済的な困難」を挙げた人の割合は2001年以前には66.7%だったが、02~05年には57.9%、06~09年には47.3%、10~13年には40.1%、14~16年には12.1%と減少を続けた。  一方、「自由への憧れ」「政治体制に対する不満」「家族に会うため」などを理由として挙げた人の割合は2001年以前には33.3%だったが、02~05年には42.1%、06~09年は52.8%、10~13年は59.8%、14~16年は87.8%と上昇した。  統一部当局者は「最近の脱北者であるほど、北にいた時の韓国に対する好感度と韓国の経済発展に対する認識が高かった」と説明した。  北朝鮮にいたころの所得について「普通以上」と回答した人の割合は、2001年以前は19.4%だったが、02~05年には14.6%、06~09年には34.9%、10~13年には36.8%、14~16年には55.9%と上昇した。 北朝鮮での生活水準が「中・上流」だったする回答者も01年以前は23.5%だったが、02~05年には13.7%、06~09年には37.5%、10~13年には39.6%、14~16年には66.8%と増加した。 また移住型の脱北は海外で亡命を申請するエリート層で増えている。政府系シンクタンク・統一研究院のキム・スアム選任研究委員は先月30日に発表した脱出者数の推移と定着支援政策に関する報告書で、海外に駐在する北朝鮮エリートの脱北に関し、国際社会による制裁によって北朝鮮本国からの上納金の要求が強まったことが脱北の動機になっているとみられるとした上で、「特に同伴している子供の将来の問題も脱北の動機の核心として作用していると推定される」と話した。 実際、韓国情報機関の国家情報院は8月22日の国会情報委員会の懇談会で、7月末に在英国北朝鮮大使館のテ・ヨンホ公使が韓国に亡命した理由について、外交官の子供のうち、25歳以上は帰国するように北朝鮮から命令が下されたことがきっかけだったと説明した。 脱北者の学歴にも変化が見られる。統一部の資料によると、北朝鮮在住当時に大卒以上の学歴を有していた脱北者の割合は2011年が5.7%、13年が6.6%、15年が7.3%と上昇傾向にある。  統一部所管の脱北者支援機関、南北ハナ財団の孫光柱(ソン・グァンジュ)理事長は、2013年12月に金正恩朝鮮労働党委員長が、叔父の張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長を処刑して以降、北朝鮮で中核をなす階層の脱北が増えたと指摘した上で、それが北朝鮮体制の不安が広がっていることを裏付けていると説明した。
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