【ソウル聯合ニュース】公務員やメディア従事者、私立学校教員らへの接待や金品提供を規制する「不正請託および金品など授受の禁止に関する法律」が28日に韓国で施行され、経済への影響が注目されている。 不正や汚職をなくす目的で制定された同法は、社交や儀礼を目的とした公務員らへの食事接待は3万ウォン(約2800円)、贈り物は5万ウォンまでなど厳しい上限を設けている。発案した政府組織・国民権益委員会の元委員長の名前を取って「金英蘭(キム・ヨンラン)法」とも呼ばれる。 クリーンな社会づくりを進めるため、法は原則に基づき厳正に執行されるべきだが、一方でこれによる消費の落ち込みが現実化すれば、ただでさえ低迷する韓国経済をさらに押し下げかねない。やっとのことで編成した補正予算の効果が相殺され、10~12月期の成長率が鈍化する恐れもある。法の施行とは別問題として、予想される経済への衝撃を最小化するため政府や企業などの経済主体が力を合わせねばならない。 現時点では、金英蘭法が経済に与える影響の大きさを見極めるのは難しい。民間シンクタンクの韓国経済研究院は飲食店、ゴルフ場、消費財小売業などが打撃を受け、年間11兆6000億ウォンの経済的損失が予想されると分析している。 接待に使われてきたゴルフ場は会員権価格が急落し、来場者が大きく減って苦境に陥るところが次第に増えると予想されている。接待上限の3万ウォン以下ではとても利益が出ない高級韓国料理店や焼き肉屋、魚料理店の閉店が相次いでいるほか、規制に触れない定食を設けるなどメニューにも変化が出ている。また、贈り物に用いられていたランや果物などの需要が落ち込み、花き・果樹農家などが打撃を受けている。 金英蘭法の施行をめぐっては、短期的には消費への悪影響が避けられないものの、中長期的に社会の透明性と効率性が高まり、不正や汚職のための費用が画期的に減少すれば、経済にプラスになるとの見方が優勢だ。 それゆえ、法制度が定着するまで、経済への影響を最小化するための政策的対応が求められる。特に、贈答品のやりとりが減ることで直接的な損失を受ける花き・畜産・果樹農家、漁業者の販路拡大のための対策が急がれる。 食事会などが減りコミュニケーションが低下することを懸念する声もあるが、金英蘭法は不正の依頼や過剰な接待文化をなくすためのものであり、人と会うなというものではない。政府は同法の下でも十分なコミュニケーションが可能だということを率先して国民に示してほしい。 朴槿恵(パク・クネ)大統領は先ごろ、閣僚や次官とのワークショップで内需活性化のためのゴルフを勧め、閣僚らもゴルフで景気浮揚に寄与すると応じた。ぜひこれを実践してほしい。 また、割り勘を広げるためのキャンペーンを行うなど、健全な消費の活性化に向けた社会全般の努力も切実に求められる。企業も法に抵触しない範囲でマーケティングを活発に展開し、社員の外部活動が萎縮しないよう気を配る必要がある。 クリーンな社会づくりのために避けられない代価は払わねばならないが、これにより庶民経済が打撃を受けずに済むよう、国民が知恵を絞るべきだ。
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