【ソウル聯合ニュース】国際社会の厳しい制裁にもかかわらず、北朝鮮が核・ミサイル能力を日増しに高めているが、韓国の国防当局はこれといった対策を立てられず、国民は不安を感じている。 朴槿恵(パク・クネ)大統領は29日に青瓦台(大統領府)で開いた首席秘書官会議で「政府と軍は進化する北の核兵器とミサイル能力に対応し、実質的な対策をまとめるように」と指示した。朴大統領は北朝鮮の核とミサイルについて、単なる不安要因ではなく、韓国の安全保障に非常に深刻な問題をもたらす脅威だと診断した。 北朝鮮は24日に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を成功させたが、韓国はこれを、朝鮮半島をはじめとする北東アジアの安保情勢を根本から揺るがす深刻な脅威と受け止め、特段の対策を立てねばならない。 北朝鮮のSLBMは、韓米がこれまで構築してきた北朝鮮に対する抑止力を無力化しかねない。SLBMを搭載した北朝鮮の潜水艦が東海と南海から韓国に奇襲攻撃を仕掛けてくれば、現在の戦力では防ぐ手立てがない。 さらに、北朝鮮が米領グアムの米軍基地や米本土までSLBMで核攻撃を加えられるようになれば、米国の拡大抑止戦略にも影響が及び、韓米同盟そのものが揺らぐ恐れもある。自国に対する核攻撃の危険まで甘受して同盟国を支援するのは容易ではないためだ。 韓国国防部は29日、北朝鮮のSLBMについて、1~3年以内に戦力化されると予想し、米本土に届く可能性も指摘した。これに対抗し、韓米両国のミサイル防衛システムの相互運用性を高めるとともに、韓国軍の対潜水艦作戦能力を向上させるとの対策を示した。 だが、北朝鮮がミサイルを発射するたびに安易でお粗末な分析に終始してきた軍当局がこうした対策を示しても、頼もしく感じる国民は多くないだろう。 北朝鮮のSLBMを封じ込めるため、与党セヌリ党や一部の軍事専門家から原子力潜水艦の導入を求める声も上がり始めている。国防部は今のところ、原子力潜水艦の導入について「何も決まっていない」と慎重な姿勢を示している。政府内には、国民が不安を強めていることを踏まえ、非公式にでも建造の必要性を検討すべきだとの意見もあるという。 実際に原子力潜水艦を導入するかどうかはともかくとして、現状では北朝鮮の核・ミサイル能力の高度化を受けた新たな対策が急がれている。北朝鮮によるSLBMの発射成功は、従来の考え方や対応では国と国民の安全を保障できないことを韓国に教えた。対北朝鮮戦略において発想の転換と柔軟な思考が求められている。
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