【ソウル聯合ニュース】ソウル市内にある商業ビルのトイレで20代の女性が見知らぬ男に殺害された事件が、韓国社会の女性嫌悪現象をめぐる論争に発展している。一方で、変質者による犯罪を女性嫌悪の問題にすり替え、男性を潜在的犯罪者扱いしているとの批判の声も出ている。 事件は17日未明、ソウル・江南駅近くの飲食店が入店しているビルの男女共用トイレで起きた。男は同日午前0時半ごろ、トイレの男性用スペースで女性が入ってくるのを待ち伏せし、午前1時過ぎに入ってきた女性を刃物で数回刺して殺害したとされる。男は同日午前10時ごろ、犯行現場近くで緊急逮捕された。動機について「女の子にいつも無視された」などと供述したことが明らかになり、女性たちを中心に怒りの声が上がった。 事件後、犯行現場近くの江南駅の壁は被害女性を追悼するメッセージで覆われた。21日には同所で市民らが被害女性を追悼するとともに、「女性だったから亡くなった」などとして女性を狙った犯罪の撲滅を訴える集会が開かれた。追悼の動きは釜山や大邱、大田など全国に広がっている。 韓国はまだまだ男性中心の社会だが、女性の社会進出は着実に進んでいる。このため「女性は兵役の義務を負わないなど特別待遇を受けている」などとして、女性を嫌悪する男性も増えている。 ソウル地方警察庁は22日、専門家による男の心理状態分析結果に基づき、同事件を精神疾患者による無差別犯罪と結論付けたと発表した。 発表によると、男は2003年ごろから「誰かが私の悪口を言っているのが聞こえる」などと訴え、被害妄想の症状を見せた。症状は徐々に「女の子たちが私をいじめる」との妄想に変わったという。飲食店のホールで働いていた男は今月初旬、衛生状態が悪いとの理由で配置転換されたが、女性たちの告げ口のためと思い込んだことが犯行に及んだ要因の一つになったとの分析結果も出ている。 警察は、女性嫌悪犯罪との主張について「嫌悪犯罪と精神疾患による犯罪は分けて定義しなければならないが、本件の場合は精神疾患犯罪」として、「被害妄想のために反感を持つのは嫌悪犯罪ではない」との見解を示した。 kimchiboxs@yna.co.kr
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