【ソウル聯合ニュース】米大統領選の共和党の候補指名を確実にしたトランプ氏が4日(米東部時間)、米CNNテレビのインタビューで、韓国や日本など同盟国は米軍の駐留経費を100%負担すべきだと主張した。在韓米軍の撤退の可能性も示唆し、韓米同盟の根幹を揺るがしているとの指摘が出ている。 トランプ氏はこれまでにも、「米国は世界の警察官ではいられない」との考えを明らかにしており、韓国や日本などの同盟国に対し、駐留経費の負担増額を要求する姿勢を示してきたが、具体的に100%と言い切るのは初めて。 韓国が在韓米軍の駐留経費をすべて負担した場合、推定で年間約2兆ウォン(約1835億円)に達する。 韓米両国は1991年から在韓米軍駐留経費負担(思いやり予算)に関する特別協定(SMA)を締結しており、昨年韓国政府は駐留経費の50%程度となる約9500億ウォンを負担した。 韓国の経費負担は在韓米軍司令部で働く韓国人の人件費、在韓米軍施設の建設費、軍需支援費の3項目からなり、毎年増加する傾向にある。2005年に6804億ウォンだった負担額は10年で約40%増加した。 次期在韓米軍司令官(韓米連合司令官兼務)に指名されたブルックス氏は米上院の公聴会で「韓国は昨年、在韓米軍の人的費用の約50%を負担した」と評価している。 この発言に対するコメントを求められたトランプ氏は「なぜ100%負担ではだめなのか」と問い返した。韓国や日本、ドイツなど米軍が駐留する国に全費用を負担させるという趣旨の発言かと聞かれると、「当然だ。すべての費用を負担すべきだと」と言い切った。 トランプ氏は在韓米軍の役割を韓国の防衛に限定して考え、その費用を韓国に負担させるという「起業家的な発想」から発言しているとの見方が出ている。 しかし在韓米軍には韓国の防衛だけでなく、米国のアジア戦略における役割があり、トランプ氏の発言は理解不足によるものとの指摘も出ている。 米国側が在韓米軍の駐留経費の全額負担を要求し、外交摩擦に発展した場合、米国だけでなく韓国でも在韓米軍不要論が広まり、在韓米軍を軸とする韓米同盟の根幹を揺るがす事態に発展する可能性もある。 在韓米軍や在日米軍が撤退を進めた場合、北朝鮮の核・ミサイルの脅威にさらされている韓国と日本の核武装論につながり、米国が主導してきた核不拡散体制が破綻する可能性もある。そのため、専門家は仮にトランプ氏が大統領に就任したとしても、発言をそのまま実行するのは難しいとの見解を示している。 しかし、トランプ氏は韓国や日本など同盟国に対し、米軍の駐留経費の負担額引き上げを求めると繰り返し述べており、大統領に就任した場合はなんらかの形で圧迫を強めてくるものと予想される。 トランプ氏が「米国第一主義」で一定の支持を得ていることから、韓国政府は今回の大統領選とは関係なく、米国の世論が朝鮮半島の安保に関して極端な方向に傾かないよう長期的な対米戦略を樹立しなければならないとの指摘も出ている。 元外交通商部次官の金聖翰(キム・ソンハン)高麗大教授は「在韓米軍が韓国だけでなく米国の国益にも役立つという事実を米国の官民に積極的にPRする努力がこれまで以上に必要となる」と強調した。 yugiri@yna.co.kr
Copyright 2016(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0